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離婚後に元夫以外の子どもを妊娠&出産! 知っておくべき300日問題とは

2020年10月07日
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離婚後に元夫以外の子どもを妊娠&出産! 知っておくべき300日問題とは

離婚の増加により、離婚後、新たなパートナーと出会い、パートナーの子どもを出産するというケースは珍しいものではなくなりました。宇都宮市の離婚件数は、平成19年から平成29年までの間に、年間1082件から、年間877件に減少しているものの、結婚数も年間3332組から年間2871組に減少しており、離婚を選択する夫婦の割合は依然として高いともいえるでしょう。

離婚問題が長引き、夫婦生活が破綻している状態で、新しいパートナーを出会うという方も決して珍しくはありません。ところが、離婚が成立してから300日を経過せずに新たなパートナーとの子どもを出産した場合、さまざまな戸籍上の問題が生じてしまいます。そこで本コラムでは、宇都宮市の弁護士が離婚後300日以内に新しいパートナーとの子どもを出産した場合の問題とその解決方法を解説します。離婚後、1年以内に妊娠、出産をした方のお役に立てると幸いです。

1、離婚後の出産「300日問題」をわかりやすく解説

離婚後300日以内に、元夫以外の相手の子どもを出産すると、いわゆる「300日問題」と呼ばれる問題が生じます。300日問題とは、離婚後300日以内に生まれた子どもは、元夫の子どもとみなすという民法の規定によって生じる問題です。

  1. (1)離婚後に生まれた子どもについての民法の規定

    民法第772条2項では、離婚後に生まれた子どもの取り扱いについて、以下のように規定しています。
    「婚姻成立の日から200日を経過した後または婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」

    そもそも同条1項では、婚姻中にできた子どもは夫の子どもだと推定できると規定されています。そして離婚は、「婚姻の解消」に該当する行為です。したがって、離婚後300日以内に生まれた子どもは、元夫の子どもであると推定されるため、出生届を提出すれば、元夫の子どもと推定を受けることになります。役所の戸籍課は、お子さんがどのように出生されたのかを審査することができませんから、推定による必要があるためです。

    本来の父である、現在のパートナーの子どもとして出生届を提出しても役所は受理をしない可能性があることを知っておきましょう。なお、民法で300日と規定されている理由は、平均的な妊娠期間が280日であるためです。離婚後300日以内で生まれた子どもを、元夫の子どもと推定するルールのことを、「嫡出推定」といいます。

  2. (2)現パートナーの子どもとみなしてもらうためには手続きが必要

    嫡出推定を覆して、現パートナーの子どもをみなしてもらうためには、原則として裁判所での手続きが必要です。

    本来の父親を子どもの父親とするためには、その事実を証明する証拠の提出を求められることになります。

2、知っておきたい法律上で父親を決めるルール

民法には、子どもの父親を明確にするためのルールが設けられています。先述の「嫡出推定」と、女性の再婚禁止期間です。

民法第733条では、女性は離婚後100日を経過しなければ、再婚をすることができないことが規定されています。100日としている理由も、子どもの父親を明確にするためです。離婚後すぐに結婚をしてしまうと、その後出産した子どもが、どちらの夫の子どもかを判断できずにトラブルの原因となってしまいかねません。近年ではDNA親子鑑定ができるようになりましたが、法律上で規定している親子関係は、遺伝子上の親子関係よりも子どもの福祉を重要視した上で規定しているのです。

あくまで、民法上の「嫡出推定」に基づいた父親との親子関係の決定方法は原則であり、例外がある場合は所定の手続きを経れば生物学的な親子関係に修正することはできます。

3、元夫の子どもではない場合に生じ得る問題とは

離婚後300日以内に元夫との子どもではない子どもが生まれた場合は、以下のような問題が生じる可能性があります。

  1. (1)出生届を提出したら元夫の子どもとして受理されてしまう

    離婚後300日以内に子どもの出生届を提出すると、元夫の子どもとして出生届が受理されてしまう可能性があります。現夫の子どもとして、出生届を提出するためには、いくつかの方法があります。離婚後に懐妊したことを医学的に証明する証明書を出生届書とともに提出するなどの方法があります。元夫の子どもとして戸籍が作られた子どもの、父を現父に変更する手続きは、原則として裁判手続きが必要です。このような場合には、弁護士に相談した方が良いでしょう。

  2. (2)元夫に知られたくないがために子どもが無戸籍になってしまうケースもある

    元夫によるDVが理由で離婚をした場合や、すぐに妊娠をしたことで嫌がらせを受ける可能性がある場合には、現在の住所等を知られることを避けるために、子どもの出生届を提出しないという選択肢をとる方もいるようです。

    しかし、無戸籍となってしまった場合で、住民票も作成されなければ、健康保険にも加入できず、パスポートを作成できないなどの不利益が生じます。役所などに事情を伝えることで、住民票を閲覧できないようにするなどの措置をとってくれることもあります。子どもを無戸籍にしてしまわないよう、必要な手続きを行いましょう。

    ただし、無戸籍になってしまっても戸籍を作る手続きは可能です。もし、すでに無国籍・無戸籍状態になっている子どもがいる場合は、放置をせずに弁護士に相談してください。

4、元夫ではなく実父の子と認めてもらうための方法

元夫ではなく、本来の父親の子どもとして認知してもらうためにはいくつかの方法があります。元夫の協力が必要なものとそうでないものがありますので、状況に応じて適切な方法を選択してください。

  1. (1)離婚後に授かった子どもであることを医学的に証明して出生届を提出

    出生届を提出するときに、医師が作成した「懐胎時期に関する証明書」を提出することで、現パートナーの子どもとして、出生届を受理してもらえる可能性があります。

    裁判所での手続きも必要ありませんので、もっとも簡便な方法といえます。ただし、戸籍には、「民法第772条の推定が及ばない」と記載されることになります。それでも、それ以外に不都合な点はありません。

    医師に、懐胎時期に関する証明書を書いてもらえるのであれば、出生届の提出期限である、出生後14日以内に書類を用意しておきましょう。

  2. (2)元夫による嫡出否認の手続き

    元夫の協力を得られるのならば、元夫に嫡出否認の手続きを行ってもらうという方法もあります。一度元夫の子どもとして、出生届を提出した後に修正をするという手続きです。

    嫡出否認手続きは、「元夫が子どもの出生を知ったときから1年以内」に行わなければなりません。手続きは、調停前置主義から、まずは裁判所への調停の申し立てによって行います。

  3. (3)元夫を相手に「親子関係不存在確認のための調停」を申し立てる

    母親や子どもが元夫に対して、「親子関係不存在確認のための調停」を申し立てることで、嫡出推定を否定することができます。

    ただし、元夫を相手に調停を申し立てることになるため、元夫が話合いに参加してくれることが必要です。また、親子関係不存在確認のための調停の申し立てが受理されるためには、「嫡出推定が及ばないこと」という条件を満たしている必要があります。また、場合によっては、DNA鑑定を行う必要があります(その場合、別途調査費用が掛かります)。

  4. (4)強制認知の調停を申し立てる

    元夫とほとんど関わりを持たずに、実父の子として認知してもらう方法のひとつが強制認知です。強制認知とは、子どもや法定代理人である母親が、実の父親に対して子どもを認知するようにと請求する手続きです。この手続きであれば、元夫と連絡をとったり協力を求めたりすることなく、実父の子どもとして認知してもらうことができます。

    ただし、強制認知の調停を家庭裁判所に申し立てて受理されるためには、「嫡出推定が及ばないこと」という条件があります。たとえば、子どもを妊娠した当時は、元夫が海外赴任をしていた、遠い県外で別居をしていた、あるいは服役していたなど、父に当たる人と現実的に接触の機会がなかったという事実を述べる必要があります。

5、元夫と関わりを持たずに現パートナーの子どもとして認知をしてもらうためには

前述のとおり、元夫の協力を得ない方法で、生まれた子どもを現パートナーの子どもとして出生届を提出する、もしくは認知をしてもらう選択肢は多くはありません。「懐胎時期に関する証明書」と出生届を一緒に提出する、強制認知の調停を申し立てる、このいずれかができない場合は元夫の関与が必要な場合があります。

しかしながら、離婚後は元夫との接触は最小限にしておきたいと考える方は少なくないようです。そこで、元夫となるべく接触をせずに現パートナーの子どもとして認知をしてもらう方法を解説します。

  1. (1)元夫の関与が不要な手続きを選択する

    まず挙げられる手続きは、出生届とともに「懐胎時期に関する証明書」を提出する方法です。

    しかし、これは医学的に離婚後に妊娠していることを証明できなければなりません。その場合は、強制認知が選択肢となりますが、強制認知には、「嫡出推定が及ばないこと」という前提があります。したがって、家庭裁判所に強制認知の調停を申し立てた段階で、申立適格を充足しない可能性があるのです。

    強制認知の申し立てを受理してもらうためには、嫡出推定が及ばないことを客観的に立証しておく必要があります。懐胎時期に海外に行っていた、離婚調停や訴訟中であり別居をしていた、などの証拠を用意しなければなりません。その上で、調停を申し立てなければならないので、「強制認知」を検討している方は弁護士にご相談ください。

  2. (2)弁護士に手続きを一任する

    懐胎時期に関する証明書と出生届を提出する、もしくは強制認知の調停のいずれも難しい場合は、元夫の関与は避けがたいでしょう。

    しかしながら、弁護士に依頼をすることで、少なくとも元夫と直接連絡をすることなく手続きを進めることができます。調停では当事者が出廷する必要がありますし、弁護士費用が掛かるというデメリットもあります。しかし、事情がある場合は、顔を合わさずに調停を進めるように配慮してもらえるので安心です。裁判手続きの中で、住所や連絡先も開示されないような手続きしてもらうこともできるでしょう。元夫と連絡を取らずに、現パートナーの子どもとして戸籍を作りたい場合は、ひとりで悩まずに弁護士にご相談ください。

6、まとめ

300日問題は、無戸籍問題を生じさせる大きな原因のひとつとなっております。元夫との子どもにしたくない、元夫に連絡を取りたくないからと、子どもの出生届を提出できずにいる女性が少なからず存在するのです。

しかしながら、元夫の協力を経ることなく子どもの戸籍を作ることはできます。ひとりで悩まずにまずは弁護士に相談しましょう。弁護士に相談をすることで、元夫の関与を最小限にした手続きの助言を受けることができます。

また、弁護士に手続きを依頼すれば、裁判内外の手続き・交渉を一任することも可能です。ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスでは、300日問題に悩む方からのご相談を受け付けております。弁護士、スタッフ一同が親身に対応いたしますので、ご安心してお任せください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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