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無断欠勤が続いている社員を解雇したい! 企業が気を付けるべき点は?

2020年09月02日
  • 労働問題
  • 無断欠勤
  • 解雇
無断欠勤が続いている社員を解雇したい! 企業が気を付けるべき点は?

宇都宮市を管轄する宇都宮労働局のホームページでは、労働者側から寄せられた解雇に関する相談事例が掲載されています。たしかに、労働者は会社を支える重要な人材です。一方的な解雇は法律で禁じられていますし、使用者としても行うべきではありません。しかし、そもそも労働者が無断欠席している事態に陥っている場合、使用者にとって大きな損失であることに間違いありません。

無断欠勤が続いている社員などすぐに解雇したい! と思われるかもしれませんが、一方的に社員を解雇してしまうと、解雇基準が濫用されていないか、厳しく判断される可能性があります。本記事では宇都宮オフィスの弁護士が、無断欠勤を繰り返す社員へ行える対応について解説します。

1、会社は何日無断欠勤した従業員を解雇できる?

日本は解雇規制が厳しいといわれていることは、使用者の方であればご存じのとおりでしょう。では、どの程度の無断欠勤であれば解雇が認められるのかについて、まずは解説します。

  1. (1)14日以上連続して無断欠勤しているとき

    まず、無断欠勤を理由とした解雇が正当と判断されるための目安は、基本的には無断欠勤が2週間以上続いたときです。

    これは判例および行政通達によって定められた原則であり、もちろん例外もあります。たとえば、無断欠勤の原因が職場内のセクハラやパワハラにある場合等は、欠勤が2週間以上続いたからといって、解雇することはできません。

  2. (2)14日より短い無断欠勤や、無断欠勤を「繰り返す」社員は?

    14日以上の無断欠勤は、あくまで無断欠勤を理由とした解雇が認められる場合の基準です。14日に満たない無断欠勤でも、その他の事情と総合して解雇できる可能性があります。たとえば、会社において風紀を乱すことが客観的に見て明らかであるときや、会社にとって不利益となる行動をわざと繰り返す場合は無断欠勤がなくても解雇事由になり得ます。

    たとえば、無断欠勤が1~2日程度だったとしても、それを何度も繰り返されては長期の無断欠勤に勝るとも劣らない迷惑となるでしょう。あくまでも、会社に与える悪影響や、会社の努力内容をもとに解雇の相当性を判断していくことになるのです。

  3. (3)無断欠勤に相当の事情がある場合は解雇できない

    無断欠勤は原則として許されないことですが、労働者が無断欠勤せざるを得なかった状況や、使用者側が無断欠勤を責められないというケースがありえます。

    代表的なものは、大病や大ケガによる無断欠勤でしょう。不意打ちで起きた健康上の問題で欠勤連絡ができなかったという場合、無断欠勤を理由に解雇することは難しいことを知っておきましょう。

    次に、会社に責めに帰すべき事情がある場合です。たとえば、モンスターのような社員がいたり、会社ぐるみでパワハラやセクハラが横行していたりする場合は無断欠勤するのも無理はないと判断される傾向があります。当然、有給休暇など正当な理由での休暇を一切認めない、退職届を受理しないという場合も、無断欠勤を理由にした解雇はできません。

    そして、大きな災害によって連絡を取れなくなってしまったときも、無断欠席とみなすことはできません。大災害時はライフラインすら断絶してしまうことがあります。そのようなとき、許可をとっての欠勤ができないことは明白でしょう。そのため、大災害の結果無断欠席せざるを得ないとき、無断欠席を理由とした解雇はできないのです。

2、即時解雇はNG! 無断欠勤社員を解雇するための手順

無断欠勤をした問題社員はすぐにでも解雇したいとお考えかもしれません。しかし、労働者の生活を一変させてしまうことから、解雇という行為自体が厳しく制限されています。解雇するときは、解雇の判断が合理的でかつ社会通念上相当であることが求められます。不合理な理由で解雇することは許されず、たとえ合理的な判断でも解雇以外の解決策があればその道を選択すべしというのがわが国の労働法です。

本項では、無断欠勤をする社員を解雇するまでの手順を紹介します。

  1. (1)指導

    まずは、なぜ無断欠勤をしてしまうのかについて調査したうえで、二度と無断欠勤しないよう、丁寧に指導します。たとえば、連絡を密にとる、生活態度を改める、仕事の重要度を教えるといった初歩の初歩から実践してみることをおすすめします。場合によっては、社内で何か問題が起きているかもしれません。その場合は、問題解決を行います。

    裁判所は、数回の無断欠勤での解雇を認めることとはありません。なぜなら使用者には、教育する義務が課せられているためです。「採算指導したが無断欠勤が治らなかった」と証明しなければいけません。もちろん、無断欠勤以外に解雇の理由になり得るポイントがあれば、それらも改められるよう指導すべきです。

  2. (2)懲戒

    懲戒とは、不正・不法行為などをした者に対して行われる制裁を指します。もちろん、安易に懲戒処分を下せるわけではありません。懲戒の内容は就業規則できちんと定め、かつ刑法、民法、労働法等に反しないことが大切です。

    懲戒の内容として一般的なものは、以下のとおりです。

    ・戒告・譴責(けんせき)
    労働者に反省を求めるものが戒告、顛末書を書かせる処分が譴責です。

    ・減給
    給与額を減らす処分です。しかし、そもそも、無断欠勤の場合は、欠勤中の給与支払いが不要となります。懲戒事由と減給する金額とのバランス感覚が問われる処分であることは間違いありません。さらに、平均給与の半額以上は労働者に支給するよう義務付けられているため、使用者の裁量で勝手に決めてしまうとトラブルのもとになりかねないでしょう。

    ・出勤停止
    懲戒処分として出勤停止を行う場合はペナルティーである以上、会社都合欠勤と異なり給与の支給が不要です。謹慎もこの出勤停止と同一の処分と言えるでしょう。なお、使用者側は業務についての指揮命命令権しか持たないため、「出勤停止中は自宅にいるように」など、自宅謹慎を命ずることは違法となります。

    ・解雇
    懲戒処分でもっとも重いとされている処分が、解雇です。逆に言えば一度の懲戒事由で解雇になることはめったにありません。

  3. (3)退職勧奨

    解雇が難しい場合でも、無断欠勤するような従業員ならば、退職したいという気持ちを持っているかもしれません。そこで、退職を促し、穏便に解決することも考えましょう。争いが長期化するリスクを避けるため、退職金を支払い退職してもらうことは、長期的によい判断となり得ます。

    不当な退職勧奨は当然に違法ですが、穏やかに退職を促すこと自体は合法です。

  4. (4)解雇予告

    社員への対応を尽くしても、無断欠勤が続くときは、解雇することになるでしょう。使用者が解雇を言い渡す場合は、30日分の解雇予告手当を支払うか、(30-n)日前の解雇予告+n日分の解雇予告手当の支払いを行う必要があります。

  5. (5)懲戒解雇および普通解雇

    実際に解雇する日が到来したら労働契約解除となります。就業規則に書かれた懲戒事由にあたる場合は懲戒解雇と呼ばれ、懲戒事由にあたらないが解雇するに相当の理由があれば普通解雇と呼ばれます。

3、まったく出社しない労働者を解雇する手順

会社にまったく来ない労働者の場合は、話し合いや指導ができません。この場合は次の手順で解雇します。

  1. (1)出勤の督促、退職届の送付

    まずは、出勤を促しましょう。電話やメールでの連絡をして、それでも応じなければ自宅に赴きます。コミュニケーションができれば、指導を行います。

    コミュニケーションが困難であれば、自らの意思での退職を促すべく退職届を送ります。退職届を突き返されたら次の手順に進みます。

  2. (2)解雇予告除外認定を受け、解雇通知を送る

    解雇すると解雇予告手当がかかるため、長期にわたって無断欠勤しているなら、即時解雇を検討することになるでしょう。即時解雇するときは、労働基準監督署に申請して解雇予告除外認定を受ける必要があります。一応、解雇した後に認定されても即時解雇は認められますが、正当な理由なく申請を遅らせるべきではありません。即時解雇を決めた時点で、解雇予告除外認定を受けることをおすすめします。

    なお、直接解雇予告ができなければ解雇通知を送ります。送付の際は、配達証明付きの内容証明郵便を使うことをおすすめします。万が一、労働者側から訴えられたときに備え、より確実に、事実関係に基づいた証拠を残すことができるためです。

  3. (3)公示送達で解雇を通知する

    場合によっては、該当の労働者自身が行方不明になってしまっている場合があります。そうなってしまえば解雇通知を送っても労働者のもとに到達しません。

    そのようなときは、裁判所に申し立てることによって公示送達の手続きを行います。公示送達とは、地方自治体の掲示板や官報で解雇を通知してもらえる制度です。実際に公示されてから2週間以上たてば即時解雇が可能となります。

4、社員の無断欠勤を減らすためにできることは?

無断欠勤への対応だけでなく、できれば社員の無断欠勤を減らしたいものです。最後にその対策としてできることを紹介します。

  1. (1)心理的安全性の高い職場環境づくり

    無断欠勤を避けるためには、まずは採用の次点から気を遣いましょう。社内の人間関係は、労働者にとって非常に重要な要素になりえます。ハラスメントなどが起きていないかなど、使用者としては特に気を付けて確認しておき、万が一問題が起きているときは、放置せず、迅速に対応することをおすすめします。

    また、社員がプレッシャーで逃げてしまうというケースがあるときは、客観的に見て、その会社における心理的安全性が低いということが多いものです。もちろん、何でも許されるような職場では逆の意味で心理的安全性が低くなりますが、忌憚なく発言でき、挑戦が奨励される場をつくることは社員のモチベーションアップおよび帰属意識の向上につながります。

  2. (2)就業規則に懲戒を明記する

    懲戒などの処分は、就業規則に明記しないと行えないことを知っておきましょう。就業規則で明文化したうえで周知していないのに、口頭やそのときの状況に応じた、などの理由で下した処分は法律上認められません。懲戒解雇について知ったが自社の規則で懲戒について定めていないのであれば、今すぐ懲戒の条文を加えて労働者全員に周知しておく必要があります。

    また、法律上、懲戒には相当性が問われます。無断欠勤する社員相手でも過剰な制裁は控えましょう。特に注意すべきは社員に罰金を支払わせるなどの処分です。労働者に賠償の予定を課すことは労働基準法で認められていません。また、労働者の給料から勝手に天引きして罰金を支払わせることも、法律違反となります。

    たとえ就業規則で定めていたとしても、法に準じていない内容は無効となることも知っておきましょう。法律に準じた就労規則を作成したいとお考えであれば、弁護士や社労士などの専門家によるアドバイスに基づいて作成することをおすすめします

5、まとめ

無断欠勤の社員を辞めさせるためには、解雇が社会通念上相当であると認められなくてはいけません。上記のとおり、無断欠勤の社員を解雇するにも周到な対策が求められます。

問題社員を円満に退職させたい、不当解雇での争いを避けたい、また、不当解雇として訴えられてしまったときは、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスへご相談ください。労働問題に対応した経験が豊富な弁護士が、適切な対応をアドバイスします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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