よくある風俗トラブル2つのケースと弁護士に依頼するメリット

2020年07月03日
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よくある風俗トラブル2つのケースと弁護士に依頼するメリット

宇都宮市内にも風俗店が存在します。利用される方の多くは法に触れるような行為はしていないでしょう。しかし、風俗トラブルで逮捕されそうだと悩む方もいるかもしれません。宇都宮市内で起きた出来事ではありませんが、たとえば平成31年2月には、出張マッサージで自宅を訪れた女性に対して強制的に性交をした容疑で、40代男性が逮捕されています。男は酔っていて覚えていないと供述していると報道されました。

本報道のように酔っていた、出来心でトラブルが起きてしまうケースは、風俗に限らず起こりえるものです。今回は、起こりやすい風俗トラブルに遭ってしまったときにどうすべきか、成立する犯罪はどのようなものかを中心に、宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

1、よくある風俗トラブル2つのケースと罰則

起こりうる風俗トラブルの代表的なケースは、盗撮と本番強要が挙げられます。

  1. (1)盗撮で成立する犯罪と罰則

    盗撮は、たとえばプレイ中の行為を相手に許可なく撮影することや着替えなどをしているところを許可なく勝手に撮影する行為を指します。

    盗撮行為の多くは、都道府県が独自に設定している迷惑防止条例や、軽犯罪法に違反すると考えられます。栃木県下における迷惑防止条例の正式名称は「栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例」です。したがって、該当する要件や受ける刑罰の内容は全国一律ではありません。多くの場合、逮捕地の迷惑防止条例違反として取り締まりを受けることになります。

    栃木県内の迷惑防止条例では、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が規定されています。したがって、栃木県下の公共の場所などで風俗店の従業員に対して盗撮行為をした結果、迷惑防止条例違反として有罪になったら、この範囲で処罰を受けることになるでしょう。

    他方、迷惑防止条例に該当しない盗撮行為は、軽犯罪法に違反するとして処罰を受けるおそれがあります。軽犯罪法は、正当な理由がなく、通常衣服を着けないでいるような場合をひそかにのぞき見た場合について規定しています。風俗関連においても適用される可能性が高いと考えられる犯罪です。

    なお、軽犯罪法で規定されている罰則は、拘留または科料です。逃亡の危険性や証拠隠滅の可能性がない、さらに住所不定ではないという条件下であれば、逮捕という身柄の拘束が必要となる措置が行われることはないでしょう。

  2. (2)本番強要で成立する犯罪と罰則について

    本番強要は、本番をしてはいけない決まりになっていたにもかかわらず、無理やり性交を行ったケースや、強引に本番行為をしようとしたけれども結果的にはできなかった場合などを指します。強制わいせつ罪や強制性交等罪が成立する可能性がある行為です。

    強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をすることで成立しえます。一般的には、嫌がっている相手を押さえつけて胸部を触るなどの行為によって罪に問われることがある犯罪です。風俗トラブルであれば、本番を強要する目的で、相手を脅迫、もしくは暴力を用いて陰部をまさぐったなどという場合に、成立しうる犯罪になります。

    この強制わいせつ罪は、6か月以上10年以下の懲役刑が科されると規定されています。

    他方、強制性交等罪は、相手の同意がなく本番行為に及んだ場合に成立しうる、かつては強姦(ごうかん)罪と呼ばれていたことがある犯罪です。従来の強姦罪は親告罪といって、被害者が刑事告訴をしなければ警察は捜査や逮捕をすることができませんでした。しかし、強制性交等罪は、非親告罪となっています。そのため、被害者本人が告訴しなくても、たとえばお店側が警察署へ通報するという告発を行うことで、警察は捜査を開始し、加害者を逮捕することが可能となっています。また、被害者の性別も問われません。

    強制性交等罪は、5年以上の懲役刑となっています。

  3. (3)その他問われる可能性がある罪

    さらに、盗撮した動画をインターネット上で拡散したり、販売したりした場合は、わいせつ物頒布罪や名誉毀損(きそん)罪に問われる可能性があります。相手が元恋人だったなどの場合は、リベンジポルノ規制法(正式名称は「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」)に問われることもあるでしょう。

    盗撮動画の拡散などをした場合、問われる可能性がある罪はこれだけではありません。盗撮写真や動画を拡散した結果、店舗などに損害を与えた場合は、偽計業務妨害罪に問われてしまう可能性は否定できないと考えられます。それから、万が一、未成年者による性的なサービスを受けた場合は、児童ポルノ禁止法違反に問われることもあり得ます。

2、風俗トラブルで慰謝料請求されたら

風俗トラブルが発生し、慰謝料請求された場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

  1. (1)店側から慰謝料を請求された場合

    たとえば、風俗店で盗撮した事実が露呈し、店舗側から慰謝料を請求されることもあるでしょう。このとき、請求額があなたの予想をはるかに超えていたというトラブルは少なくないようです。「家族や会社などにばらされたくなかったら支払え」などと脅されてしまうこともあるかもしれません。

    この場合、いわゆる不当要求に該当する可能性があるため、弁護士に相談したほうがよいでしょう。そもそも、被害者本人ではなく雇用者に対して、求められた金額をそのまま支払う必要がありません。なぜなら、本来慰謝料などは、風俗店員など盗撮の被害者に対して支払うものであるためです。したがって、盗撮のために店舗内の壁に穴をあけたなど店側に損害を及ぼしていないのであれば、店舗に対して慰謝料を支払う必要はありません。

    ただし、店との利用規約などに基づく損害賠償請求をされる可能性は否定できません。こちらは民事上の責任となるため、警察とは無関係の事件として扱われることになるでしょう。

  2. (2)被害者側から慰謝料を請求された場合

    盗撮が発覚したのち、風俗店の被害者である店員本人やその家族などが慰謝料を請求してくる場合があります。この場合においても、純粋に慰謝料を請求しているのではなく、法外な金額を請求している場合がある可能性は否定できません。

    いずれにしても、慰謝料請求をされた場合は、早急に弁護士に相談して対処方法を検討することをおすすめします。

3、風俗トラブルでも示談交渉すべきか?

風俗トラブルで示談交渉するメリットはどこにあるのでしょうか。

まず、風俗トラブルは、強制わいせつ罪や強制性交等罪のように、しばしば刑罰と密接な関連性がある場合が多いものです。したがって、なにも対応しなければ刑事事件として処理されてしまうおそれがあるという点に注意する必要があるでしょう。

刑事事件として扱われてしまうと、逮捕され、長期間身柄を拘束される可能性があります。前科が付いた場合は特に、会社などに盗撮の事実が露呈するとともに、社会的な地位も失ってしまうおそれがあることも考えられるでしょう。

したがって、まずは刑事事件にならないように対応しなければなりません。そのためには、被害者側と示談を成立させることがもっとも有効です。また、示談交渉をしていれば、もし、刑事事件化したときも、示談交渉したものの不当な要求を受けていたなどの事実が考慮されることになります。起訴を回避できたり、たとえ起訴されても執行猶予が付いたりするなど情状酌量をしてもらえる可能性を高めることができるのです。

さらに、示談をあらかじめ成立させることによって、民事的な責任を改めて問われる可能性の回避が可能です。

4、風俗トラブルで弁護士に依頼すべき3つの理由

風俗トラブルを起こしてしまったら、弁護士に依頼して示談交渉をすることをおすすめします。

  1. (1)示談を早期に成立させる

    迅速に示談が成立することは、刑事事件として発展させないために非常に有効です。仮に刑事事件として処理されてしまっても、不起訴処分になれば、その後は身柄が解放されます。通常の社会生活に戻ることができます。

    風俗トラブルは、店と被害者という2つの当事者が絡んでおり、関係性が複雑な場合が多いことが特徴です。そのため、加害者側の場合は、被害者ときちんと示談交渉ができないおそれがあるのです。たとえば、示談交渉の末、示談が成立したと思っていたら、実は店側だけで被害者側には伝わっていなかった、などという場合もあります。

  2. (2)不当要求に対応できる

    また、店など被害者側が出した解決金額として、不当に高額な場合があります。この不当な要求は加害者が個人だからです。弁護士には通用しません。弁護士は相場を熟知しているからです。そのため、弁護士が示談交渉を行うことによって、適切な示談金額で示談を成立させることが期待できるのです。

  3. (3)会社にバレないようにできる可能性

    警察が介入する前に解決を目指した交渉をしている最中であっても、被害者や相手先が勤務先などに連絡してしまう事態は起こりえます。

    しかし、あらかじめ弁護士に依頼しておけば、被害者など相手方からの連絡は、すべて弁護士にすることとなります。弁護士が加害者側の代理人となるからです。風俗トラブルが起きてしまった事実を周囲の人に知られてしまうという事態を防ぐことできるのです。

    風俗トラブルで慰謝料などを請求された場合や、警察から連絡が来たとき、個人ですべての対応を行う人は非常に難しいものです。まずはひとりで何とかしようとせず、弁護士に相談してください。状況に適したアドバイスを行うとともに、ご依頼をいただけば示談交渉や弁護活動を行うことが可能です。

5、まとめ

風俗トラブルは、盗撮や本番強要などが代表的なケースと考えられます。あなた自身は、相手も同意していたと思いこんでいたものの、実は同意を得ていなかったなどのケースも少なくありません。

刑事事件として処理されてしまえば、逮捕されたり、起訴されて有罪になったりする可能性があります。そのような事態を回避するためにも、できるだけ早期に弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。法的なアドバイスをふまえて、専門的な対策を採ることができるようになるでしょう。

風俗トラブルでお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスまでお気軽にご相談ください。不当な要求を退けられるよう力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています