盗撮で後日逮捕される可能性は? 逮捕前にするべきことは?

2018年10月03日
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盗撮で後日逮捕される可能性は? 逮捕前にするべきことは?

盗撮に関するニュースは、たびたび地元の新聞にも掲載されています。スカートの中を撮影しようとしたり、トイレへカメラを設置したりするなど、ITの発達に伴い、その手口も多種多様化しているようです。

被写体となる人物に見つからないように、カメラやスマホなどを用いて撮影をし、現場を取り押さえられ、逮捕される……いうイメージが強い盗撮事件。しかし、犯行時に逮捕されなくても、後日になって逮捕されてしまうケースも少なくないようです。具体的に、盗撮によって問われる罪から、後日逮捕されてしまうケースなどについて、弁護士が解説します

1、盗撮で後日逮捕・事件化の可能性は?

大前提の基礎知識として、盗撮をするとどのような罪に問われるのかを知っておきましょう。

  1. (1)盗撮は「迷惑防止条例違反」?

    盗撮で検索すると、「迷惑防止条例違反」とたくさんヒットするでしょう。

    ここで表示される「迷惑防止条例」とは、各地方自治体が定めている「迷惑防止条例」の総称です。公衆に迷惑をかける行為を防止して平穏な生活を保持するための条例で、詳細な文章は各自治体によって異なりますが、ほぼ同様の内容が定められています。ただし、地域によって独自の条例が定められていることもあります。

    栃木県における正式名称は、「栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例」であり、第3条に「卑わいな行為の禁止」として、軽微と判断される痴漢や、のぞき、つきまとい、盗撮などの行為を禁じる文言が明文化されています。

    また、迷惑行為防止条例に違反した場合の罰則については、第9条で定められています。罰則についても、多くの場合は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」となります。ただし、同じ容疑で何度も逮捕された前歴がある場合など、「常習」と判断されたときは、より重い罰則が科されることになります。

    その他、状況によっては、軽犯罪法違反や、知的財産権侵害として罪が問われることもあるでしょう。また、盗撮を行うために、他人の敷地に無断で侵入していたり、強制的に被害者の腕をつかんでいたりするケースでは、刑法犯としてさらに重い罪が問われうることになります。

  2. (2)事件化とは?

    盗撮行為が発覚し、警察が捜査することを「事件化」と呼びます。盗撮を行った疑惑がある人物は「被疑者」と呼ばれる立場となり、捜査が進められます。

    なお、事件化に至る際、必ず「逮捕」が伴うわけではありません。そもそも「逮捕」とは、法的には「最大48時間、身柄を拘束する」という意味を伴います。そして逮捕は、被疑者の証拠隠滅や逃亡の可能性がある場合に行われることになります。

    警察や検察が犯行を認識していて、その犯行を立件するための捜査も行われているものの、被疑者の身柄は拘束されていないというケースもあります。これは、一般的に「在宅事件扱い」として処理されているものです。被疑者本人も犯行を認めていて、かつ、身柄を保障してくれる人がいるうえで、悪質な犯行ではなかったケースでは、逮捕はされないまま、罪を裁かれることがあるのです。

    なお、ドラマやニュースなどで耳にする機会が多い「現行犯逮捕」は、犯行現場を通行人や、犯行直後に通報によって駆け付けた警察官に身柄を拘束されることを指します。犯行中、もしくは犯行直後に身柄を拘束することから、特に権限を持たない一般人でも逮捕することが認められています。

    一方、後日、逮捕される場合には、「通常逮捕」と「緊急逮捕」のどちらかになります。

    緊急逮捕は、殺人などの凶悪事件において、証拠もあり、急速を要しているときのみ逮捕できる特別措置です。そのため、「盗撮」のみが疑われているケースでは、まず使われることはないでしょう。

    「通常逮捕」は、警察が一定の証拠をそろえ、被疑者が罪を犯したことを明らかにしたうえで、逃亡の可能性があるなどの理由があるとき、裁判所に逮捕状を発行してもらい、逮捕することを指します。犯行当日から、証拠を集めていくことになるので、逮捕は必ず後日になります。ただし、どのタイミングで逮捕状が請求・発行され、逮捕されるのか? という点については誰にもわかりません。

    なお、盗撮事件については、初犯のケースであれば、被害者へ謝罪し弁償を行うなど、示談が成立していれば、たとえ事件化したとしても、罪を問われず釈放されるケースは少なくありません。

    盗撮してしまった際、いち早く謝罪し、示談交渉を始めることは、事件化を回避できる可能性が高まります。また、罪を償うことは、人生におけるリスクを最小限に抑えることにもつながります。前科がついてしまえば、将来にわたって一定の制約を受けることになるためです。

    したがって、できるだけ早いタイミングで、弁護士に相談し、できるかぎりのことはやっておくことをおすすめします。

2、盗撮で後日逮捕されるとき、警察はどう動く?

では、盗撮の疑いで、後日になって逮捕されるときは、どのような流れになるのでしょうか。逮捕される前に自首をする、被害届の取り下げを示談で依頼するなどの対応をするためにも、あらかじめ刑事事件の流れを知っておきましょう。

  1. (1)警察が家に来て通常逮捕される

    後日、逮捕されるケースは、証拠がある状況に限られます。具体的には、盗撮の目撃者がいる状態で逃走してしまったケースや、被害者が被害届を提出して事件が発覚したケースなどです。

    警察は防犯カメラの映像や、SUICAなどのICカードの入出場記録、被害者の供述、監視カメラの映像などから被疑者の身元を特定できます。その他、事件現場にカメラを置いてきてしまった場合には、その中に入っている映像やカメラの購入履歴などから被疑者の身元が判明する可能性もあるでしょう。

    被疑者の身元が特定された時点で、警察が逮捕状を持って被疑者の自宅を訪れたときが、通常逮捕に該当します。

    もし、被疑者が逮捕され、72時間以内に釈放されなければ、検察に事件が送られ、状況によっては「勾留(こうりゅう)」されることになります。勾留とは、引き続き身柄を拘束され続けることを指します。勾留期間は原則として10日間ですが、更に最大で10日間延長が可能です。その間は、留置所や拘置所で生活しながら、検察官による取り調べを受け、起訴するか不起訴にするかが決められることになります。

    身柄の拘束が長引けば長引くほど、職場や家族への影響が出る可能性が高くなることはいうまでもありません。なお、逮捕から勾留が決まるまでの72時間は、たとえ家族や友人でも、連絡を取ることは禁じられます。面会などを通じて、被疑者と会話したり、代理で被害者との示談を進めたりできるのは、依頼を受けた弁護士だけになります。

  2. (2)警察から呼び出しを受け、任意の取り調べを受ける

    盗撮事件では、被疑者が罪を素直に認めていれば、多くのケースが在宅事件扱いとなります。たとえば、盗撮時に現行犯逮捕されて警察署に連行されても、数時間後には釈放されるケースもあるでしょう。

    このとき、厳重注意などだけで釈放されれば、「微罪処分」として、前科がつかない可能性もあります。しかし、引き続き捜査されて罪が問われる可能性がある場合では、「在宅事件扱い」として、その後は、警察が指定した日時・警察署で取調べを受けることになるでしょう。

    取調べ中の発言は調書に取られます。そして、仮に裁判になった場合には、調書は重要な証拠として扱われます。したがって、やっていないことをやったと返事してしまうなど、自分の意図しない調書内容にならないように気をつけてください。

    警察の対応などに不安がある場合は、弁護士に依頼しておくと、捜査の際に同行することも可能です。また、万が一、逮捕されてしまったときも、少しでも早く身柄の拘束が解かれるよう、弁護活動を行うことができます。

3、逮捕される前に罪を軽くするには?

盗撮で有罪になってしまうと、前科がつきます。前科がついてしまうと、仕事や学業はもちろん、海外旅行の際などにも支障が出る可能性があります。そのため、できるかぎり、前科がつくことは避けたいものです。

そこで、少しでも量刑を軽くしたり、起訴を回避したりするためにできることを知っておきましょう。

  1. (1)被害者との示談交渉

    被害者がいる犯罪の場合、示談が成立しているか、すなわち、被疑者と示談交渉を行って許しを得たという事実があるかどうかという点を、警察は重視します。よって、「示談」の成立が、もっとも有効な罪を軽くする手段となるでしょう。

    示談成立が事件化する前であれば、謝罪するとともに、被害者へ損害賠償金を支払うことによって、被害届を出さないよう依頼することも可能です。つまり、警察に盗撮の事実を知られないようにすることができます。もし、事件化してしまったあとであっても、示談が成立すれば、身柄をいち早く解放してもらうことや、起訴そのものを回避することも可能となります。

    ただし、被害者は精神的にショックを受けています。犯人にとっては「映像ぐらい」と思うかもしれませんが、被害者のなかには、精神的ショックから外出が難しくなってしまうケースもあり得ます。加害者に二度と会いたくないという方がいても、当然のことといえるでしょう。

    特に盗撮の場合、加害者と被害者が、見知らぬ他人同士であるケースも多々あります。盗撮をする人物に、わざわざ住所などの連絡先を教えたいと思う被害者は皆無と思ってよいでしょう。そのため、当事者同士による示談は非常に難しくなります。

    しかし、弁護士が介入することによって、示談を進められるようになるケースは少なくありません。いち早く示談交渉を行うためには、早期に弁護士を介入させて交渉を進めることがカギを握ります。

  2. (2)自首

    被害者との示談成立は確かに有効ですが、被害者の精神状態を考慮すれば、容易には進みません。自首を行うことで、被疑者自身が罪を認めていることを開示して、誠意を示しましょう。また、経験豊富な弁護士へ依頼すれば、うまく交渉が進むようになるでしょう。

    なお、「自首」とは、犯人の所在が判明していない、またはそもそも犯罪自体が発覚していない状況で、自ら捜査機関に告白することを指します。つまり、犯人が特定されていて所在がわかっていない状態では自首は成立しません。

    もっとも、すでに捜査されている段階であっても、自ら出頭して罪を告白することは、反省しているとみなされ、罪が軽くなる傾向があります。

    盗撮してしまったという心当たりがある方は、まず弁護士へ相談することをおすすめします。状況に応じて、示談交渉をする、任意捜査に同行する……などの弁護活動を通じて、あなたのサポートを行います。

4、まとめ

今回は、盗撮行為で事件化する可能性や、後日逮捕されるケースなどについて解説しました。

監視カメラなどの電子機器が発達している現在、盗撮行為が後日発覚する可能性は十分にあります。解析技術も進化し、被疑者の特定も容易になってきたため、「どうせ見つからないだろう」といった油断は禁物です。被疑者としては、逮捕されるのか、逮捕されるとして、いつ逮捕されるのかわからないところが最大の不安になるでしょう。

盗撮行為に心当たりのある方は、まずは弁護士へ相談してください。逮捕前であれば、少しでも罪を軽くするためのアドバイスをすることもできます。万が一、逮捕されてしまったときは、不起訴・執行猶予の獲得などのサポートが豊富です。

早期に弁護士に依頼するほど、相談者にとって有利な状況にすることができるので大きなメリットといえます。ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスが、あなたの人生に大きな傷をつけないよう、全力を尽くします。

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