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凶器準備集合罪とはどういう罪? 逮捕されたらどうなる?

2021年09月15日
  • 暴力事件
  • 凶器準備集合罪
凶器準備集合罪とはどういう罪? 逮捕されたらどうなる?

他人の生命や身体、財産に害を加える目的で凶器を準備して集合し、または人を集合させると、凶器準備集合罪、凶器準備結集罪という犯罪が成立することがあります。

この罪は昭和33年に刑法に新設されたものですが、当時は暴力団抗争における集団での暴力行為が取り締まりの対象とされていました。その後、時代の変遷とともに学生運動や暴走族、近年は半グレ集団にも取り締まりの対象が拡大しています。

最近では検挙数も激減しており、令和元年に全国の検察庁で受理された凶器準備集合罪等の被疑者は10人で、そのうち未成年の少年は8人でした。検挙数は少ない犯罪ですが、興味本位で現場に居合わせたりして事件に巻き込まれる可能性もある犯罪といえます。

本コラムでは凶器準備集合罪、凶器準備結集罪が成立する条件や逮捕されてしまった場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

(出典:令和元年検察統計)

1、凶器準備集合罪・凶器準備結集罪の規定

刑法では、

刑法208条の2
(1項・凶器準備集合罪)2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
(2項・凶器準備結集罪)前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、3年以下の懲役に処する。


と規定しています。

凶器準備結集罪は、凶器を準備し、又は準備のあることを知って人を集合させた場合に成立します
凶器準備結集罪は、凶器準備集合罪の集合状態を積極的・主導的に作り出す犯罪といえるため、刑の重さも凶器準備集合罪より重くなっています

本コラムでは、凶器準備集合罪と凶器準備結集罪を合わせて「凶器準備集合罪等」と記述し、解説していきます。

2、裁判例を踏まえた凶器準備集合罪等の要件

凶器準備集合罪等は時代の変遷とともに取り締まり対象が拡大し、裁判所もそれを是認してきた経緯があります。
刑事裁判における裁判例も合わせて、凶器準備集合罪等の要件を整理します。

  1. (1)凶器

    人の身体を殺傷すべき特性を有する一切の器具を指しており、拳銃や刃物など典型的な凶器のほかに、角棒や鉄パイプ、金属バットなど、使用方法によっては人を殺傷することが可能な物も凶器に含まれます

    裁判例
    • 長さ1メートル前後の角棒は凶器にあたる(昭和45年12月3日最高裁決定)
    • 角材の柄が付いたプラカードは凶器にあたる(昭和46年3月19日東京地裁判決)
    • ダンプカーは人を殺傷する凶器としての外観があるわけではなく、ただちに他人に危機感を抱かせるものではない場合には凶器にはあたらない(昭和47年3月14日最高裁判決)
    •  
  2. (2)共同して害を加える目的(共同加害目的)

    2人以上が生命や身体、財産に対して害を加える行為(殺人、傷害、暴行、建造物損壊、器物損壊など)をする目的を有していることが必要です。

    裁判例
    • 大人数が集合する場合、全員または大多数の集団意思として共同加害目的がある必要はなく、2人以上がその目的を有していれば足りる(昭和52年5月6日最高裁判決)
    • 襲撃を受けた際には迎撃し、共同で殺傷する目的であった場合も共同加害目的に該当する(昭和37年3月27日最高裁決定)
    • 襲撃を受けるような状況がなくても、凶器準備集合行為が社会生活の平穏を害し得る態様のものであれば凶器準備集合罪が成立する(昭和58年6月23日最高裁判決)
  3. (3)集合

    2人以上が共同加害目的を持って一定の時刻に一定の場所で集まること、つまり、時と場所を同じくすることをいいます

    なお、当初は共同加害目的がなかったとしても、集まった後で凶器を準備し共同加害目的を持つに至った場合は「集合」に該当します。

    裁判例
    すでに2人以上が集まった状態で凶器を準備し、または凶器が準備されていることを知った上で共同加害目的を形成した場合も「集合」に当たる(昭和45年12月3日最高裁決定)
  4. (4)刑事実務では「公共的な社会生活の平穏」も重視される

    凶器準備集合罪等は、個人の生命や身体、財産の保護のみならず、「公共的な社会生活の平穏」も保護の対象としています

    たとえば、暴走族の集会に興味本位で参加した場合や、デモや集会に参加したところ暴徒が混じっていた場合にも、凶器準備集合罪が適用される可能性がないとはいえません。

3、逮捕された場合の手続き

凶器準備集合罪等で逮捕された場合の刑事手続きを解説します。
なお、凶器準備集合罪等は少年に適用されることも多いため、少年事件の概要についても合わせて解説します。

  1. (1)いつまで身体拘束されるのか?

    逮捕された場合の身柄に関する手続きの流れを中心に解説します。
    なお、少年の場合も勾留までは基本的に同様の手続きとなります。

    ①逮捕
    逮捕されると警察に連行され、取り調べを受けることになります。
    留置施設に身体拘束されて外部との連絡を取ることもできなくなりますが、弁護士のみ面会をすることが可能です。

    警察官による身体拘束から検察官への送致までの時間は最大48時間です。
    そのため、逮捕の翌日または翌々日には検察官に事件が送致されることになります。

    ②検察官送致
    検察官に事件が送致されると、検察庁で検察官の取り調べを受けることになります。
    検察官は身体拘束から72時間以内に勾留請求をするか釈放するかの判断をします。

    凶器準備集合罪等は、逮捕されないケースも少なくありませんが、事件を主導したとみなされると、逮捕・勾留される可能性が高くなります

    ③勾留
    検察官が勾留請求をすると、裁判所で弁解を聴く手続き(勾留質問)が行われ、勾留の必要性が審査されます。

    裁判官が勾留を認めた場合、身体拘束を受けるのは原則10日間です
    なお、凶器準備集合罪等のように関係者が多数いるような事件では、面会や差し入れを制限する決定(接見等禁止決定)をされることが多くなります。
    接見等禁止決定がされると、面会や手紙のやり取りもできなくなります。

    ④勾留延長
    さらに勾留を続ける「やむを得ない事由」がある場合は、最大10日間勾留が延長されることもあります。

    ⑤勾留に代わる観護措置
    少年の場合、警察の留置場ではなく、少年の保護や教育に主眼を置いた機関である少年鑑別所を勾留される、「観護措置」となることもあります

    勾留に代わる観護措置の期間は10日間が上限で延長は認められません

  2. (2)捜査終了後の手続き-成人の場合

    捜査が終結すると、起訴するか否かが判断されることになります。

    通常、勾留期間中に検察官は次のいずれかの処分を決定します。

    • 起訴
    • 略式起訴
    • 不起訴
    • 処分保留


    刑事裁判にならなかった場合は釈放されます。

    起訴されると決まると、起訴日から2か月間勾留されることになり、以後は勾留を継続する必要がある場合に1か月ごとに更新され、原則として判決が宣告されるまで勾留が続きます。

    なお、起訴されると保釈請求が可能となりますが、その場合には、保釈保証金を納付することになります
    保釈保証金は、逃げたり保釈条件に違反したりすると没収されますが、条件を守っていれば返却されます。

  3. (3)捜査終了後の手続き-少年の場合

    少年が罪を犯した場合は少年法が適用されます。

    少年法は、少年が罪を犯した場合でも、刑罰ではなく教育的手段で立ち直りを図ることを原則としています。

    そのため、事件はすべて家庭裁判所へ送致されることとなり、家庭裁判所で非行の内容や生活環境について調査を行い、少年審判で処分を決めるという流れになるのが一般的です

    事件が家庭裁判所に送致されると、少年を帰宅させるか鑑別所で調査を行うか判断され、鑑別所での調査が相当と判断されると、原則2週間(最大8週間)鑑別所に収容されます。
    調査が終了すると、次のいずれかの手続きに進み処遇が決まります。

    • 審判不開始(処分をせず社会内で更生を図る)
    • 少年審判(保護観察や少年院送致などの保護処分)
    • 検察官送致(重大事件等刑事処分が妥当な場合、少年が成人に達した場合)

4、家族が凶器準備集合罪等で逮捕された場合の対処法

家族が逮捕された場合、早急に弁護士に弁護を依頼するのが賢明です。
そのメリットを解説します。

  1. (1)長期の身体拘束を回避できる可能性が高まる

    凶器準備集合罪等の弁護活動において重要なことは、いかに身体拘束の長期化を避けるかという点にあるといえます。

    特に逮捕直後の数日間は刑事弁護においては重要な時間となります
    勾留の判断をする裁判官は、捜査機関が作成した資料から勾留の必要性を判断しますが、その資料に本人に有利な情報が記載されていない可能性があります。

    この段階で弁護士が本人に有利な事情を記載した意見書を提出することができれば、勾留を回避できる可能性が高まります

    また、勾留や接見等禁止の決定には不服の申立ても可能ですが、弁護士が勾留に反対意見を述べると、裁判官も不服の申立てを意識して、慎重に判断することが期待できるのです。

    凶器準備集合罪等のような関係者が多数の事件では、勾留後も面会や差し入れが制限されることが多く、最大23日間家族とも面会できない状況が続く可能性もあります。

    身体拘束を受けた場合、家族と会えないことで精神的に追い詰められる方も少なくないため、早期の身柄解放がより一層重要となります。

  2. (2)不当に重い責任を負わされることを防止する

    逮捕された本人は、外部の情報がない中で取り調べを受けることになります。

    また、共犯者間の役割によって刑事責任の重さも変わりますので、捜査官に話した内容によっては、不当に重い責任を負わされる可能性もあります。

    自分に不利な供述調書に署名してしまうと、後から主張を覆すのは困難になるため、弁護士のアドバイスを受けながら、取り調べに臨むことが重要です

  3. (3)本人以外も弁護人を選任できる

    弁護人を選任する権利は憲法が保障する重要な権利なので、逮捕された場合でも、弁護士に連絡を取ってもらい、弁護人を選任することが可能です。

    また、本人の法定代理人(保護者など)、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹も本人のために弁護人を選任することができます(刑事訴訟法30条2項)

5、まとめ

凶器準備集合罪や結集罪は、被害が現実化していなくても処罰される可能性がある罪です。

近年は適用例が激減しており、一般人にとっては決して身近な犯罪とはいえませんが、不良グループの抗争に子どもが関与してしまう可能性もないとはいえません。知識として心に留めおきましょう。

何らかの犯罪に巻き込まれ、警察から呼び出されている、といったご事情があるなら、まずは弁護士に相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスでは、担当弁護士と刑事事件専門チームが連携を取り、ご相談者さまやその家族の方を全力でサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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