サブスク規制が導入! 特定商取引法改正と違反にならない表示法とは
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宇都宮市でも、バスケットボールチームが東京の企業と共同して、飲食店で利用できるサブスクリプション商品を販売するなど、サブスクリプションは、事業者が消費者に提供するサービスのひとつとして定着しているのではないでしょうか。
一方で、全国の消費生活センターに寄せられるサブスクリプションに関する消費者トラブルは年々増加しており、消費者庁ウェブサイトによれば、平成30年に約2万2000件であった相談件数は、令和2年には約5万6000件にまで急増しています。事業者が消費者に受け入れられるサブスクリプションサービスを今後も提供し続けるためには、トラブルを防止し、消費者の納得・満足を得る必要があるといえます。
そこで令和4年6月1日、改正特定商取引法が施行され、通信販売における定期購入(サブスクリプション)商法への規制が課せられました。本コラムでは、改正特定商取引法の内容や改正特定商取引法によって企業に求められる対応などを、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスの弁護士が解説します。
1、サブスクリプション(サブスク)規制はいつから?
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(1)サブスク規制が行われることになった背景
事業者に対するサブスク規制が行われることとなった背景は、すでにお伝えしたとおり、サブスクの普及に伴い、トラブルが急増した点にあります。
令和3年10月に、サブスクトラブルに関して、国民生活センターから消費者への注意喚起が公表されましたが、これ以前からも、栃木県や宇都宮市をはじめとする各自治体のウェブサイト上で住民への注意喚起がなされるなど、サブスクトラブルは社会問題化していました。
このような事態に対応すべく、通信販売におけるサブスク規制を定めた改正特定商取引法(以下「改正法」といいます)が令和3年6月9日に成立し、令和4年6月1日から施行されることとなりました。 -
(2)根拠となる法律
サブスク規制の根拠となる法律は、特定商取引法です。
特定商取引法は、正式名称を「特定商取引に関する法律」といい、その名のとおり、消費者トラブルが起きやすい取引について、トラブルを防止するための規制やクーリングオフ制度を設けることによって公正化を図り、消費者被害の防止・回復を目的とする法律です。
このたび、特定商取引法が改正され、通信販売でサブスクサービスを提供する事業者に対して、トラブルを防止するための各規制が課されることとなりました。 -
(3)いつから適用すべきか
改正法の施行日は令和4年6月1日ですので、この日以降は、改正法によって事業者に求められる事項をすべてクリアしている必要があります。
サブスク規制は通信販売に対して課されるものですが、通信販売の方法として念頭に置かれているのは、主としてEC事業(オンラインショッピング)です。ECサイトの改修に当たっては、法律の求めを満たすだけにとどまらず、デザインや、場合によってはシステムにまで手を入れる必要があることも大いに考えられます。
このほか、リリース前の運用テストの期間も確保する必要があり、多くの工数を要することが考えられますので、事業者は、改正法の内容を正しく理解したうえで、少しでも早く対応するべきであるといえます。
2、サブスク規制の概要
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(1)サブスクトラブルの特徴・問題点
サブスクトラブルの特徴・問題点は、以下のような点にあるとされています。
- 注意書きを見落とし、サブスク契約の内容を勘違いしていた
- 契約先の事業者を勘違いしていた
- 無料期間中に解約をしようとおもったが、手続を忘れていた、もしくはできなかった
- アプリを削除すれば退会になると思っていた
上記のようなサブスクトラブルの特徴・問題点は、消費者の注意不足が原因である点もなくはないでしょうが、根本的には、事業者において十分かつ分かりやすい情報を提供できていないところにあると考えられます。
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(2)サブスク規制の概要
このようなサブスクトラブルの特徴・問題点を踏まえて、改正法では、事業者に対して、契約条件・契約相手方名称・サービス内容・解約方法などの情報を、契約を締結する前に分かりやすく提供するように規制が課されました。これによって、消費者が十分な理解のもとでサブスク契約を締結することができるようになり、サブスクトラブルを防止することができるようになると期待されています。
以下、インターネットでの通信販売を前提に、改正法の具体的な内容をお伝えします。- 申込段階における表示規制の創設
消費者のPCやスマートフォンの申込最終確定画面に、次の6項目すべてを表示することが義務化されました(リンク先URLを記載して別ページで6項目を表示することが許容される場合もあります)。
- ① 販売価格・対価(※2回目以降の金額も必要)
- ② 支払時期・支払方法(※2回目以降の支払時期も必要)
- ③ 引渡・提供時期(※2回目以降分も必要)
- ④ 申込みの期間に関する事項(※ある場合のみ)
- ⑤ 契約の申込みの撤回・解除に関する連絡先・連絡方法・条件など
- ⑥ サービスの分量・回数・期間など(※2回目以降分も必要)
- 定期購⼊であることを表示しなかったり、定期購入でないと誤認させる表⽰をしたりしたことなどに対する罰則の創設
上記6項目の表示義務に違反した事業者に対しては、業務禁止命令などの行政処分や、懲役刑・罰金刑などが科される可能性があります。
- 上記の違反する表⽰によって申込みをした場合に取消しを認める制度の創設
上記6項目の表示義務に違反した表示によって消費者が誤認して契約の申込みを行った場合には、消費者が契約を取り消すことが可能となります。
- 契約の解除の妨害する⾏為の禁⽌
違反した事業者に対しては罰則が科される可能性があります。
- 申込段階における表示規制の創設
3、令和4年や5年の施行までに企業が対応すべきこと
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(1)6項目の表示義務への対応
サブスクサービスを提供する事業者は、本来であれば改正法施行前の令和4年5月31日までに、6項目の表示義務を満たすようECサイトを改修しなければなりません。まだ行っていない企業はすぐに対応しましょう。
インターネット上のモールに出店している場合などには、自社内での対応にとどまらず、先方への確認も必要となり、大掛かりな対応となることが予想されます。 -
(2)電磁的方法によるクーリングオフの受付
このほか、令和4年6月1日には、これまで書面でしか行うことができないとされていた消費者によるクーリングオフが、メールなどの電磁的方法で行うことが可能となりました。
そして、事業者は、契約書面に、「書面又は電磁的記録により」クーリングオフができる旨を記載しなければなりません。
これに伴い、事業者にとっては、電磁的方法によるクーリングオフの受付体制の整備も求められます。 -
(3)電磁的方法による契約書面の交付
さらに、令和5年6月15日までには、消費者の承諾を得れば、事業者が交付する必要がある契約書を電磁的方法で行うことが可能になります。
デジタル化する社会においてニーズに応えるためには、こちらも対応すべき事項であるといえるでしょう。
4、顧問弁護士をつけておくことのメリット
これまでお伝えしたように、特定商取引法の改正による喫緊の課題として、ECサイトの改修や電磁的方法によるクーリングオフの受付体制の整備が必要です。これらの対応に当たっては、法律の求めを満たす仕様を検討して確定させたうえで、自社のシステムや組織体制に反映させるという複数のプロセスを経なければなりません。
法律の改正内容をリサーチするだけでも多くの労力を要しますし、リサーチした内容が不正確である場合には、法律の定めに違反するとして行政処分や罰則を科されかねないというリスクもあり得ます。また、改修済みのECサイトや整備済みの体制のチェックを弁護士に依頼するような場合も考えられますが、自社の内情をよく知らない弁護士に依頼した場合には、必要以上に時間がかかり、結果として多くのコストがかかってしまう可能性もあるでしょう。
この点、顧問弁護士と契約していれば、継続的な関係にあるため自社の内情を把握していますので、スムーズでスピーディーな対応を期待できますし、単発で弁護士に依頼するよりも総コストを抑えることも期待できます。
また、顧問弁護士がいれば、問題が起こった場合すぐに連絡を取ることが容易となりますので、契約書チェックや人事労務トラブルの相談など日常業務の小さな疑問やトラブルでも気軽に相談することができ、コンプライアンス遵守が徹底されるため、企業価値の向上にもつながるといえるでしょう。
5、まとめ
特定商取引法の改正により、サブスクサービスを提供する事業者は、インターネットでの通信販売における申込最終確定画面に法の定める6項目を表示することのほか、電磁的方法によるクーリングオフの受付体制を整備することが求められます。
さらに、令和5年6月15日までには、消費者の承諾を得れば、事業者が交付しなければならない契約書等を電磁的方法で行うことも可能となりますので、この点への対応の検討も進めなくてはなりません。
こういった法改正の対応も、顧問弁護士を依頼しておけば、自社の内情を把握した弁護士による、スムーズでスピーディーな対応が期待できます。
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