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問題行動をするパートさんを辞めさせたい! 穏便に対処する方法は?

2020年06月26日
  • 労働問題
  • 辞めさせたい
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問題行動をするパートさんを辞めさせたい! 穏便に対処する方法は?

栃木県では事業所規模5人以上の事業者を対象に行っている「毎月勤労統計調査」の結果を公表しています。令和元年平均の調査結果概要によると、宇都宮市を含む栃木県全体でパートタイム労働者数は22万人を超え、労働者全体のパートタイム労働者の割合は31.4%であることがわかっています。多くの使用者(会社や事業主)にとって、パートタイム労働者は欠かせない戦力のひとつとなっているのではないでしょうか。

とはいえ使用者としては、職場で問題行動を起こすような人材は、パートであろうが正社員であろうが、穏便に辞めてもらいたいのが実情でしょう。正規雇用者ではないパートであれば簡単に辞めてもらうことができるとお考えも方もいるかもしれません。しかし、その方法を間違えると不当解雇などで訴えられてしまう可能性が高くなるのです。本コラムでは、問題行動をするパートタイム労働者に穏便に辞めてもらうための方法について、宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

1、パート従業員と正社員との違いは?

  1. (1)定義

    パートと一言で表現されることがあるパート従業員については、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、通称「パートタイム・有期雇用労働法」という法律で規定されています。かつては「パートタイム労働法」と通称されていた法律ですが、平成30年7月に改正されました。施行日は事業規模によって異なり、令和2年4月には短時間労働者を使用する大企業が、令和3年4月には中小企業も改正後の内容に適用しなければなりません。

    まず、パートタイム・有期雇用労働法が適用されるのは短時間労働者と呼ばれる方たちです。具体的には、「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者」と規定されています。

    呼び名として「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」などさまざまなものがありますが、法律上、パートタイム労働法で規定された条件に当てはまる労働者であれば、同法における「短時間労働者」に該当します。

    併せて同法第2条第2項では期間の定めがある労働契約を締結している者を「有期雇用労働者」と規定しています。

  2. (2)雇用契約期間の違い

    パートタイム労働者と正社員は、定義からみてもわかるとおり時間的な違いがありますが、それに加えて、両者の契約期間に大きな違いがあるといえるでしょう。

    正社員は無期雇用契約(期間の定めのない契約)となることが一般的です。他方、パートタイム労働者は、数か月ごとに契約の更新を行う有期雇用契約(期間の定めのある契約)となっているケースは少なくありません。

    ただし、パートタイム労働者であっても、雇用時に契約期間を定めなかった場合は、無期雇用契約(期間の定めのない契約)となります。

2、「明日から来なくていいよ」は認められない

パートタイム労働者であっても、労働者の立場であることに変わりはありません。したがって、労働者保護の観点から、解雇が制限される点は正社員と同じです。

労働基準法第16条では、「解雇は、客観的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と定めています。使用者が労働者を解雇できる場合を限定することにより労働者の保護を図っているのです。

したがって、たとえ問題行動を起こすパートであろうと、解雇事由に該当するものがあるかどうかを慎重に検討したうえで、解雇に踏みきる必要があります。また、解雇が妥当と判断した場合であっても、解雇予告手続きを行わなければなりません。

解雇予告とは、使用者が労働者を解雇する場合に、法律上、30日前までに解雇を予告することです。使用者が労働者を解雇する場合には、労働者の生活への脅威を防止し、再就職などの準備に時間的余裕を与えるために、法律に定められた手続きを踏む必要があることを知っておきましょう。なお、この予告解雇をしない場合は、代わりに30日分の給料を解雇予告手当として支払う必要があります。

3、パート従業員を解雇できる条件は?

パートタイム労働者を解雇できる条件はどのようなものなのか、契約期間の定め方に応じて解説します。

いずれの場合も、微妙な判断が求められる可能性が高いでしょう。トラブルを回避したいとお考えであれば、弁護士に相談することを強くおすすめします。

  1. (1)期間をあらかじめ定めていたパートの場合

    労働契約法第17条は、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と定めています。したがって、たとえ辞めさせたいパートであっても、やむを得ない事由に該当するかどうかにより、解雇が可能かどうかを判断することになります。

    つまり、解雇がやむを得ないといえるようなよほどの理由がない限り、簡単に解雇したり、退職に追い込んだりすることは問題視されることになります。穏便に辞めさせたいのであれば、有期雇用契約満了時に契約を更新しないことこそが適切な方法となりえます。

    ただし、期間満了時に退職してもらう場合には、次の点に注意する必要があります。

    ①有期雇用の無期転換ルール(労働契約法第18条)
    有期雇用契約の契約期間は、半年や1年などに設定されます。しかし、同一の使用者(企業)との間で有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約 (無期雇用契約)に転換できるというルールがあります。

    たとえば、契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、無期転換の申し込みが可能となるのです。具体的には、有期契約労働者が使用者に対して無期転換の申し込みをすれば、使用者は拒否することはできず、無期雇用契約が成立することになります。

    したがって、問題のパートタイム労働者が、5年を超えて契約を更新され、無期雇用契約に転換することを申し込んでいた場合、これを拒否することはできません。結果的に、無期雇用契約の労働者にたいして解雇事由に該当するかを判断していくことになります。

    ②有期雇用の雇い止め制限(労働契約法第19条)
    雇い止めという言葉、報道などで聞いたことがあるでしょう。一般的に雇い止めとは、使用者が有期雇用契約の更新を拒否したうえで、雇用契約を契約期間の満了を理由に終了させることを指します。

    パートだから関係がないと思うかもしれません。しかし、辞めさせたいパート労働者が、以下の条件に該当すれば、雇い止め制限により契約が更新されることになるでしょう。

    • 過去の更新回数が多く通算勤務期間が長い
    • 正社員と同様の仕事やポジションを与えられている
    • 更新が前提となるような発言や行為があった
    • 更新期間外の解雇


    したがって、この条件に一致するパート労働者を辞めさせたいときは、労働契約法第17条のやむを得ない事由があるかどうかを改めて判断したうえで、解雇ができるか検討することになります。

  2. (2)期間を定めていなかったパートの場合

    契約期間を定めていない場合は、正社員同様に無期雇用契約とみなされます。

    すでにご紹介したとおり、労働契約法16条では使用者が労働者を解雇できる場合を限定することにより労働者の保護を図っています。解雇ができるのは、整理解雇、懲戒解雇、普通解雇の3つの場合に限定されているのです。問題を起こすやめさせたいパート社員を採用する際、期限を定めていなかったときは、懲戒解雇または普通解雇の解雇事由に該当するものがあるかどうか、を慎重に検討したうえで解雇に踏みきることになります。

4、「穏便に辞めさせたい」を実現可能な事前の対策

それでは、パートタイム労働者を必要に応じて辞めさせることができるようにしておくためには、どのような対策をしておく必要があるのかについて解説します。

  1. (1)契約期間を短く設定する

    有期雇用契約の契約期間を半年など短く設定し、必要に応じて合意のうえ更新していく形をとります。これにより、辞めさせる必要が生じた場合には、更新をしないことで早期に辞めてもらうことができることになります。

    ただしこの場合、使用者側がその労働者に更新してもらい働き続けてもらいたいと思う場合でも、労働者側から更新を拒否され長く働いてもらえない可能性があることを踏まえる必要があります。また、いくら短く設定しても更新を何度も繰り返し5年たてば、労働者は無期雇用への転換請求ができることになる点はご説明したとおりです。

  2. (2)就業規則、雇用契約などで解雇事由を明記する

    労働基準法は、就業規則に解雇事由を定めることを求めています。解雇理由を就業規則で明示しておくことは、解雇される労働者が納得したかどうかという観点と、不当解雇を主張されるリスク回避の観点で重要になります。解雇事由が明示されていれば、解雇される理由や根拠が客観的に明確になり、労働者の納得が促されます。また、使用者側としても、恣意(しい)的な不当解雇であると判断されるリスクを減らすことができます。

    なお、事前の対策とはいえませんが、解雇にはやはり一定のリスクがあるといわざるをえないことを踏まえると、もっとも安全なのは、問題行動などを注意・指摘したうえで、パートタイム労働者の自主的な退職を促すことでありこれに越したことはありません。この場合、退職届を証拠として残すことが重要です。

5、まとめ

労働者を辞めさせたいと思ったとしても、解雇は専門的な判断を必要とする場合が多いものです。事前にリスクに備えた準備をしておくことは非常に重要なポイントとなります。

弁護士と顧問契約を締結しておけば、日ごろから気軽に相談できるようになりますし、リスクマネジメントについてのアドバイスをもらうこともできます。万が一、労働者とのトラブルが起きたときは、すぐに対応を依頼することが可能となります。

ベリーベスト法律事務所では、低価格で始められる顧問契約サービスを用意しております。労働者に対して隙のない対応をしたいとお考えであれば、宇都宮オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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