夫が電車で置き引きをして捕まった! 量刑や逮捕後の流れについて解説

2019年02月26日
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夫が電車で置き引きをして捕まった! 量刑や逮捕後の流れについて解説

宇都宮警察署の管轄にある馬場通り交番のホームページでは、大型店舗内においてカバンを置き引きされる事件が発生していると注意喚起しています。このように、人がたくさんいるところにおいては、一瞬目を離した隙にカバンなどが置き引きされてしまうことがあるのです。

人が多い場所では、店舗の他には電車などがあります。特に電車の場合、たまたまポケットに入れていた財布が座席に落ちてしまうという場合もあるでしょう。こうして少し手を離れたときに置き引きは起こりやすいのです。

電車通勤している夫について、警察から突然、夫を逮捕したとの連絡を受けたとしたら、夫がこれからどうなってしまうのか、不安に思ってしまうことでしょう。

今回は、家族が置き引きで逮捕された場合、家族にできることや逮捕後の流れ、量刑について、宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

1、置き引きはどんな行為か、どんな犯罪に該当する?

置き引きは、一般的にカバンや財布など貴重品が入っているものについて、持ち主が少し目を離した隙に持ち去ってしまう行為を指します。

実は、置き引きという行為自体に明確な定義は刑法上ありません。そのため、少し目を離した隙というのが、その場を少し離れてしまった隙という場合も含まれるともいわれています。
このことから、置き引きという行為は、刑法上、235条の窃盗罪と254条の遺失物横領罪の2種類に該当する可能性があるのです。

行為態様によって、この2種類のどちらに該当するのか判断されます。

  1. (1)窃盗罪の場合

    窃盗罪は、他人の物を自分の物にしてしまう行為について、罪になると規定されている犯罪です。
    人には物を所有する権利がありますので、承諾なしに他人のものを自分のものにしてしまうのは禁止されています。

    置き引きの場合、何か作業をしようとして、持ち主が貴重品などの入ったカバンを目の届かないところへ置き、その隙に取ってしまう行為などが窃盗罪に該当する可能性があります。
    詳しい説明は後述します。

    まさに、一般的な置き引きとして、このような行動が思い浮かぶかもしれません。

  2. (2)遺失物横領罪の場合

    他方、遺失物横領罪は、いわゆる落とし物や忘れ物など、持ち主の占有を離れた物を自分の物にしてしまう行為について、罪になると規定されている犯罪です。

    具体的には、バス停のベンチにカバンを置いていた人が、カバンを持つのを忘れてバスに乗り、出発してしまったとき、残されたカバンを持ち去るという行為などが該当します。

    そもそも捨てていったのかもしれない、と思われる場合もあります。また、他人の手から離れてしまった場合は、取ろうと思えばできてしまうので、罪を犯しやすい状況にある、ということで窃盗罪より量刑が軽く規定されているのが特徴です。

  3. (3)どちらか争われる場合も

    たとえば、駅のベンチなどにカバンを置いた人が、切符を買いにいくためにカバンから離れてしまった、このカバンを持ち去った場合は、どちらの罪に該当するのでしょうか。

    窃盗罪と遺失物横領罪の違いは、持ち主(占有者)の占有が及んでいるかどうかになります。この違いが判断の分かれ道になり、占有は必ずしも手にしている必要はありません。その物が占有者の支配力が及ぶ範囲にあれば足りると裁判所では判断されています。

    こうしたことから、行為態様によっては、窃盗罪で起訴されたものについて、遺失物横領罪に該当するとして争われるケースもあるのです。

    とはいえ、置き引きの行為態様である、少し目を離した隙に取ってしまう、という行為は窃盗罪の行為に該当しますので、窃盗罪について具体的にみていきましょう。

2、置き引きは窃盗罪!? 窃盗罪とは

前述の通り、置き引きの特徴である「少し目を離した隙に取ってしまう」という行為は、窃盗罪に該当します。それでは、具体的に窃盗罪とは、どういった罪なのでしょうか。

  1. (1)窃盗罪とは

    前項でも触れたように、窃盗罪は、「他人の財物を窃取」することによって、成立する犯罪をいいます。刑法235条に定められている犯罪です。

    簡単にいいますと、他人の持ち物などをその人に無断で自分の物にしてしまう行為が窃盗罪になります。

    具体的には、置き引きの他には、お店の物を盗んでしまう万引き行為もこの窃盗罪に該当します。他方、元に戻す意思で自転車を数時間利用しただけでは、窃盗罪が成立しないと判断された例や、数時間でも自動車を使用したら窃盗罪が成立すると判断された例もあります。

    これらの分かれ目は「不法領得の意思」があるかどうかによって判断されます。電車の中で他人の財布を手にしたけれども、遺失物係に届けようとした、自分のものと間違えたという場合などでは、窃盗罪は成立しません。
    ただし、すでに置き引きで逮捕されてしまった場合は、不法領得の意思がなかったことを、客観的に証明することを求められる可能性はあります。

  2. (2)窃盗罪の量刑は?

    窃盗罪は、235条に10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると定められています。

    このように刑罰に幅があるのは、窃盗罪は、高価な美術品から消しゴム1個まで、被害金額に幅があることが理由のひとつです。また、窃盗罪の方法としても、置いてあるものを取る置き引きから、厳重に管理されている金庫から盗み出すといった場合までさまざまです。こうしたことから、悪質性や被害などによって、量刑にも幅が出るようになっているのです。

3、置き引きで逮捕された後の流れや裁判はどうなる?

家族が置き引きで逮捕された場合、どのような手続きになっているのでしょうか。

  1. (1)逮捕

    置き引きの現行犯などで逮捕された場合、その行為や動機について警察署で取り調べを受けます。この間、家族は面会することができません。面会することができるのは弁護士になります。弁護士は、逮捕された本人だけでなく、家族から面会や弁護を依頼することもできます。
    逮捕された本人は、動揺などで弁護士に依頼することを思いつけない精神状態にある可能性もあります。弁護士に依頼することで、被疑者に面会を通してアドバイスをしたり、精神的な支えとなったりすることが可能です。

    逮捕から48時間以内に、検察に送致されるかどうか判断されます。

  2. (2)検察官による取り調べ

    検察へ送致された場合、送致から24時間以内に、検察官は勾留請求するかどうか判断します。この判断は、警察署での取り調べや自ら取り調べたものをもとに行われます。

  3. (3)勾留請求・決定

    検察官が勾留相当だと判断した場合、裁判所へ勾留請求します。

    この請求をもとに、勾留が相当だと判断された場合、勾留決定がなされます。勾留が決定されると、10日間拘束されます。また、更に10日間延長することも可能なため、最大20日勾留されるおそれもあるのです。

  4. (4)起訴

    逮捕からの取調べを通して、検察官は起訴するかどうか判断します。起訴された場合は、刑事裁判手続きに移行することになります。
    不起訴となれば、釈放され、家に帰ることができます。その場合、前科もつきませんが、警察のお世話になったというしるしとして、前歴はつきます。

  5. (5)裁判

    起訴されると、刑事裁判を受けることになります。判決を受けるまで身柄を拘束される場合もあるのです。日本の検察は証拠をそろえてから起訴することが多いため、起訴されてしまうと99%有罪となってしまいます。
    弁護士は、不起訴にするために尽力し、たとえ起訴されてしまったとしても、できる限り罪を軽くするために被告人の弁護などを行います。

4、家族には何ができる?

家族としては、逮捕された夫などについて、早期に社会復帰してもらうことを望むでしょう。たとえ逮捕されたとしても、警察署から職場や学校へ連絡されることは基本的にはありません。そのため、一刻も早く釈放され、社会復帰をすれば、元通りの生活に戻ることも可能です。

ただし、長期に勾留されるなどしてしまうと、無断欠勤が続き、会社を解雇されてしまうおそれもあります。弁護士は、このような場合に職場や学校などに代わりに連絡することや、不当な扱いを受けないよう交渉することも可能です。

また、被害者との示談が成立すると、不起訴を目指すことも可能な上、反省の意思があるとして、処分が軽くなる傾向もあります。
しかし、加害者本人や加害者家族からの示談の申し入れに対して、被害者が拒否感情を持ってしまうことも少なくありません。その点、弁護士は第三者として交渉することが可能なので、被害者も冷静に示談交渉を受けてくれることが多いです。
早期に社会復帰するために、家族は弁護士に依頼し、示談を成立させるために動くことが重要でしょう。

また、逮捕後72時間は、家族は被疑者と面会することができませんが、弁護士はできます。そのため、家族の思いなどを弁護士から伝えてもらうこともできるのです。もちろん、実は置き引きをしていないといった場合は、どう主張すべきかなど対処方法について、弁護士からアドバイスを受けることもできます。

弁護士への依頼は本人だけでなく家族もできます。そのため、家族は一刻も早く、弁護士に相談し、対策を練る必要があるのです。

5、まとめ

置き引きなど窃盗罪の場合、初犯は処分が軽くなるともいわれています。また、処分を軽くするためには、被害者との示談を成立させることが必要不可欠ともいわれているほどです。

また、逮捕されて戸惑っている家族の心のケアも面会するなどして行わなければならないでしょう。

このようなことから、家族は一刻も早く弁護士に相談することがおすすめなのです。家族が置き引きで逮捕されてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスへお気軽にご相談ください。宇都宮オフィスの弁護士が力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています