違反切符とは? 赤青白、それぞれの違反内容と処罰について解説
- 交通事故・交通違反
- 違反切符
宇都宮地方検察庁によると、平成30年に同検察庁が受理した事件のうち、道路交通法違反、自動車の運行に起因する過失致死傷は5235件でした。一般の事件が5320件ですので、全体の約61%が交通関係ということになります。
道路交通法に違反した場合、その違反の度合いによって「違反切符」が交付されます。ところが、違反切符の意味や種類、また処罰について詳しく把握できている方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、宇都宮オフィスの弁護士が違反切符について解説します。
1、違反切符とは? 違反切符の概要
違反切符とは、道路交通法に違反をした場合に警察官から交付される「交通反則告知書」とのことを指します。切符と呼びますが、電車などの切符のように手のひらに収まる程度の小さなサイズではなくA4の薄い紙です。
道路交通法違反の度合いによって、その色が異なりますので、色によって「赤切符」、「青切符」、「白切符」と呼ばれています。
交通反則告知書には、違反者の氏名や住所、免許の種類や違反の内容、日時等が記されています。取り締まった警察官がその場で記載するのです。違反者は、内容を確認して、問題がなければ署名します。その場での署名を拒否した場合は、後日検察庁から呼び出しがあり、違反の内容によっては起訴される可能性もあります。
2、道路交通法に違反をしたときの行政処分と刑事罰
道路交通法に違反をすると、行政処分を受けるとともに刑事罰が科されることがあります。違反切符について理解するためには、道路交通法に違反をした際の、処分について理解が必要ですので、当コラムで理解が深まれば幸いです。
-
(1)道路交通法違反による行政処分
道路交通法に違反した場合に考えられる行政処分は、交通違反点数の加算による免許の停止や取消、反則金の支払い等の罰です。
●交通違反点数の加算による運転免許の取消、停止
過去に違反をしたことがない方の交通違反の累積点数は「0点」です。違反があった場合は、そこに違反の種類、重さに応じた点数が加算されて一定の点数を超えると、運転免許の取り停止等の処分がなされます。これらの処分は、公安委員会が行うものです。
●反則金の支払い
違反点数が6点未満の場合は、反則金を支払うことになります。反則金を支払わなければ、刑事罰が科されるおそれがありますので、注意が必要です。 -
(2)道路交通法違反における刑事罰
道路交通法違反のうち、交通違反点数が6点を超えるものについては、刑事罰が科されます。
無免許運転や酒気帯び運転、妨害運転や50km以上の速度超過などがこちらに該当します。
3、赤切符・青切符・白切符それぞれの違い
次に切符の種類による違いを確認しておきましょう。
-
(1)赤切符の行政処分と刑事罰
赤切符とは、赤色の交通反則告知書のことをいいます。赤切符が交付されるのは、無免許運転や飲酒運転など、違反点数6点以上の違反があったときです。
【代表的な6点以上の道路交通法違反】
- 運転殺人、危険運転致死等
- 酒酔い運転
- 酒気帯び運転
- 無免許運転
- 妨害運転
- 仮免許運転違反
- 50km以上の速度超過
赤切符では、反則金の支払制度はなく、刑事罰が科されます。
また、免許停止、取消といった行政処分が想定されます。
なお、赤切符の場合は刑事罰ですので、罪の重さは刑事裁判で決まります。酒気帯び運転や無免許運転であれば3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。 -
(2)青切符の行政処分と刑事罰
青切符とは、違反点数が6点未満の道路交通法違反があったときに交付される、交通反則告知書です。色が青いため青切符といいます。
【代表的な6点未満の道路交通法違反】
- 一般道での40km未満の速度超過
- 高速道路での30km以上40km未満の速度超過
- 携帯電話の保持
- 信号無視
- 一時停止不履行
- 割り込み
- 放置駐車違反
- 駐停車違反
- 無灯火
青切符が交付された場合は、反則金さえ支払えば刑事罰は科されず、行政処分のみとなります。反則金を納付することで、刑事罰を免れることができる制度のことを「交通反則通告制度」といいます。交通反則通告制度に従い、反則金を納付すれば前科が付くことはありません。ただし、反則金を支払わなければ刑事罰が科される場合があります。
青切符で想定される行政処分は以下のとおりです。- 反則金の支払い
- 違反点数が累積している場合は、免許停止、取消
1度目の青切符であれば、免許停止や取消等の処分がなされることはありません。過去に軽度の道路交通法違反があり、青切符の交付を受けている場合には、違反点数の累積により免許停止処分や取消処分を受ける可能性があります。
-
(3)白切符の行政処分
白切符とは、軽度の道路交通法違反があったときに交付される交通反則告知書です。白切符に該当する道路交通法違反は以下の3点です。
- 座席ベルト装着義務違反
- 乗車用ヘルメット着用義務違反
- 幼児用補助装置使用義務違反
白切符が交付された場合は、反則金を支払う必要はありません。加算される違反点数は1点のみです。白切符であればまったく処分がないように思えますが、すでに違反点数が5点累積している場合には、白切符によって、免許停止になることもあります。
なお、過去3年以内に免許停止等の処分を受けている場合には、処分回数が1回であれば4点、2回以上であれば2点で免許停止となりますのでご注意ください。
4、違反切符を切られたあとはどうなる?
違反切符が切られたあとの流れを解説します。滞りなく手続きを進めなければ、さらに重い処罰が科される可能性がありますので、指示されたとおり、手続きを進めましょう。
-
(1)反則金の支払い
青切符の場合は、反則金を支払うことになります。
●反則金の納付場所
反則金の支払いは、警察官から手渡された「納付書・領収証書」によって行います。反則金を納付できるのは、銀行や郵便局です。
●反則金の納付期限に間に合わない場合
期限までに支払えない場合は、「通告センター」に出頭することで、新たな納付書の交付を受けられます。通告センターに出頭できない場合は、青切符交付後40日後に納付書が送付されますので、確実に支払いましょう。
宇都宮市の通告センターは、「警察本部交通部交通指導課交通反則通告センター」です。
この時点で反則金を支払えなければ、刑事手続が進められることになります。 -
(2)刑事裁判
青切符で期限内に反則金を支払わなかった場合や、赤切符を交付された場合は、刑事裁判が行われる可能性があります。
道路交通法違反の場合は、「三者即日処理方式」によって刑事手続を進めることがあります。
三者即日処理方式では、警察、検察、裁判所の三者が集まり、警察の取り調べ、検察の取り調べ、裁判、罰金の納付を1日で終えます。そのため、違反者に大きな負担はないといえます。
ただし、有罪であれば前科が付くことになる点に注意が必要です。
5、処分の内容に不服がある場合は裁判
青切符や赤切符が交付されたものの、反則行為の有無や、処分の内容について争いたい方もいらっしゃるかと思います。
ここでは処分に不服がある場合の対処法を解説します。
-
(1)90日以上の免許の停止処分が通知された場合
免許停止処分の期間が90日を超えている場合は、意見の聴取という機会が与えられます。そこで、自分に有利になる証拠を提出すると共に意見を伝えることが可能です。
-
(2)交通違反の点数に不服がある場合
違反点数の累積により免許取消、停止となった場合は、公安委員会に対して審査請求を行うことができます。また、地方裁判所に対して免許停止処分や免許取り消し処分に対して、取消訴訟を提起することも可能です。
-
(3)赤切符、青切符が交付されたことに不服がある場合
赤切符や青切符が交付されたものの、反則行為がなかったと主張する場合は、刑事手続で争うことになります。
反則行為の有無について争いたい場合には、ご自身に有利な証拠を確保して客観的に反則行為がなかったことを主張できるように用意しておいたほうがよいでしょう。
6、まとめ
赤切符や青切符といった違反切符が交付された場合、刑事罰が科される可能性があります。
青切符の場合は、反則金を支払うことで刑事罰を免れることができます。もっとも、違反点数が累積すれば、免許停止や取消等の処分がなされてしまいます。
赤切符の場合は罰金が科せられ、前科が付くことになります。
ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスでは、違反切符を交付された方からのご相談を受け付けております。今まさに、違反切符を受け取ってどうしたらよいかわからない方はお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています