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未成年の子どもが犯罪者になったときの親の責任は? 親として何ができる?

2019年03月20日
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未成年の子どもが犯罪者になったときの親の責任は? 親として何ができる?

平成30年7月、栃木市内の男と宇都宮市内の少年が強盗殺人と強盗致傷の疑いで逮捕されたという報道がありました。男と少年は被害者たちに暴行を加えて死傷させたほか、現金や預金通帳などを奪った容疑がかけられています。

自身の子どもが事件や事故の被害者にならないことを願うことは、親として当然のことでしょう。しかし、万が一、わが子が加害者になってしまったら……。考えたくない出来事ですが、ましてや子どもが未成年だった場合、親はどの程度責任を負うのか、疑問に感じることがあるかもしれません。

今回は、未成年の子どもが犯罪に手を染めてしまった場合の親の責任について、宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

1、未成年者が逮捕された場合の流れ

14歳以上になる未成年の子どもは、罪を犯した容疑がかかれば、逮捕されることがあります。逮捕されれば、48時間以内に警察による捜査を受け、検察庁へ送られます。その後24時間以内に検察官による捜査を受け、必要に応じてさらに身柄を拘束したまま取り調べを行う「勾留(こうりゅう)」を行うため、裁判所に対し勾留請求がなされます。

裁判所に勾留が認められた場合、期間は原則10日間ですが、10日間の延長が可能です。ここまでの間に釈放されることはありますが、場合によっては最長23日間身柄を拘束されることになるわけです。なお、未成年の場合は、勾留の代わりに、あるいは勾留が終わってから、「観護措置」として少年鑑別所にて身柄を拘束されることがあります。

身柄が拘束されれば、その間、学校や仕事を休むことになります。長期にわたり休んでいれば、事件のことが露呈してしまう可能性が高まり、将来に影響する結末になりかねないということです。

2、未成年者にも裁判があるの?

未成年の場合、検察官による捜査終了後、事件が家庭裁判所へ移されるという点が、少年事件の最大の特徴といえるでしょう。未成年者に対しては、成人のような懲罰ではなく、更生を図ることが目的とされているためで、原則、殺人などのような重大事件でもない限り、罪を犯した成人が起訴されたときのように刑事裁判を受けることはありません。また、起訴後の保釈制度にあたる仕組みもない点に注意が必要です。

家庭裁判所が審判に付す必要があると判断したときには、「少年審判」と呼ばれる手続きにおいて、処分が決定します。調査官によって、家庭環境や学校生活、交友関係などが慎重に調査され、本人にとって適切な処分がくだります。

未成年の子どもは、少年審判によって次のいずれかの処分を受けます。

  • 不処分
  • 保護観察処分
  • 更生施設への送致
  • 都道府県知事または児童相談所長送致
  • 検察官送致

3、未成年者の犯罪、親の責任は?

子どもが成人している場合は、子ども自身の行動に対して親が法的責任を負うことはありません。もっとも、親の立場によっては成人した子どもへの道義的責任を求められることはあるでしょう。

しかし、子どもが未成年の場合は話が変わります。道義的責任はもちろん、法的な責任も負うことがありますので、親として看過できる問題ではありません。

  1. (1)不法行為による損害賠償責任

    「前述のとおり、未成年でも14歳以上であれば「犯罪少年」と呼ばれて逮捕されます。14歳未満であれば逮捕はされず、児童相談所などに保護されることがあります。

    いずれにしても、子どもの犯罪について親が刑事責任を問われて代わりに逮捕されるといったことはありません。親が問われることになるのは、主に民事上の責任を果たす、損害賠償の部分です。特に未成年の子どもが犯罪に手を染めてしまったときは、民法の不法行為を根拠に損害賠償責任を負うことが多くなります。

  2. (2)責任能力がない子どもの犯罪に対する親の責任

    民法712条によれば、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていない未成年は、他人に損害を与えても責任を負わないとされています。一般的に責任能力と呼び、おおむね12歳くらいまでは子ども本人に責任能力がないとされています。

    責任能力がないから何をしても許されるのかといえばそうではなく、この場合、未成年者の監督義務者である親が賠償責任を負います。ただし、どのような場合にもすべて責任を負うのではありません。親が監督義務を怠らなかったこと、義務を怠らなくても損害が生ずべきであったことを証明できれば賠償責任を免れることがあります。

  3. (3)責任能力がある子どもの犯罪に対する親の責任

    おおむね13歳以上の未成年が犯罪行為をしたとき、その責任は基本的に本人にあると考えられます。だからといって、親の責任は一切問われないというわけではありません。親自身が監督責任を怠ったこと、監督責任義務違反と損害との間に因果関係が認められれば、本人と同時に賠償責任を問われることがあるでしょう。

    仮に未成年者本人にのみ賠償責任が認められたとしても、実際問題としては未成年であることで資力がありません。被害者へ賠償できませんので親が代わりに賠償することが多くなります。

    つまり、未成年者の犯罪について親が一切の責任を負わないケースは極めてまれで、少なくとも賠償金の用意や示談費用の工面などは求められるおそれがあるといえるでしょう。

4、事件を起こした未成年者に親がしてあげられること

犯罪に手を染めてしまった子どもに対して親がしてあげられることは、金銭的な負担だけではありません。逮捕後身柄を拘束される期間が長引いたり、更生施設へ送られたりすれば、学校への影響は避けられません。居場所を失えば、将来への悪影響が考えられるでしょう。

親として、子どもの将来のために何ができるのでしょうか。

  1. (1)弁護士への相談が必須

    真っ先に検討するべきは弁護士への相談です。弁護士の働きかけによって早期の身柄釈放や、厳しい処分を回避することに期待できるからです。

    具体的には、未成年者は捜査機関からの取り調べの段階で、精神的に未熟であるがゆえに、自分に不利になる発言や態度をしてしまうことがあります。しかし、逮捕後72時間は家族が本人と面会することはできません。したがって、唯一面会できる弁護士が取り調べに対するアドバイスをする必要があります。

    また、弁護士を通じて被害者との示談を成立させることによって、本人への反省を促し、処分軽減のひとつの判断材料として主張できるようになります。被害者との口外禁止事項を盛り込むことで、事件が公になることを防ぐこともできるでしょう。

  2. (2)子どもの心に寄り添うこと

    未成年の子どもの犯罪は、家庭環境に原因があると考えられるケースが多々あります。

    少し古いデータですが、平成22年に内閣府が実施した調査結果によると、下記の回答をした子どもの割合は、一般少年よりも非行少年の方が多いことがわかっています。

    • 親から愛されていないと感じる
    • 親が厳しすぎると思う
    • 親は家の中で暴力をふるう

    また、「学校の勉強の内容について親と話をする」と答えた者の割合は、非行少年よりも一般少年の方が高いと示されています。

    もちろん、家庭の事情はさまざまであり、親のみの責任で片づけられないことは多々あるでしょう。しかし少なくとも、子どもの心に寄り添い、家庭環境の改善に努めることなどが、子どもが二度と犯罪を起こさないために親が講じるべきひとつの対処法だと考えられます。

    子どもが思春期ともなれば、親子だからこそ、素直に向き合えないというシーンもあるかもしれません。その際、第三者である弁護士の言葉になら素直に耳を傾けることもあるでしょう。少年事件に対応した経験が豊富な弁護士であれば、子どもの偽りのない気持ちを聞き出したり、専門家を紹介したりするなど、必要な対応を行い、更生を促すこともできるかもしれません。まずは、家庭の問題だからと決めつけず、弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

今回は、未成年の犯罪に対する親の責任を中心に解説しました。仮に子どもと不仲であっても、それを理由に親の責任から逃れることはできません。家庭環境を理由に犯罪に走ってしまう子どもは少なくないため、親としては子どもの心に寄り添ってあげることが何よりも大切なことだといえるでしょう。

具体的な活動や逮捕された後の対処法については、法的知識が求められるため親のみで判断することは難しくなります。できる限り早い段階で弁護士を頼り、適切に対処されることが望ましいでしょう。

ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスの弁護士も力を尽くします。未成年の犯罪は繊細な問題もはらんでいますので、慎重に対応させていただきます。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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