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第三者行為災害の定義は? 労災保険が適用できるケースと損害賠償

2022年07月25日
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第三者行為災害の定義は? 労災保険が適用できるケースと損害賠償

栃木労働局は、2021年の労働災害による死亡者数が、10月末時点で15名に達したことを発表しました。これは前年1年間の死亡労働災害の被災者数(9名)を大きく上回る数値です。この状況を受け、2021年11月、栃木労働局長が対策の徹底等を呼びかける緊急メッセージを発信しました。

従業員が業務中・通勤中にケガをし、または病気にかかった場合、「労働災害」に被災したとして、労働災害保険(いわゆる「労災」)給付を請求できます。

労働災害が認められる事案類型には、一人で業務を行っている際に作業機械に巻き込まれて負傷等する場合(「物」が原因となる場合)の他、共同作業中、別の作業員による機械の操作ミスを原因として負傷等する場合があります。後者のように「人」を原因として発生する労働災害を、「第三者行為損害」といいます。

今回は、労働災害の一種である「第三者行為災害」について、概要・労災保険給付の請求手続き・受給できる給付の内容などを、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「死亡災害多発!栃木労働局長緊急メッセージ」(栃木労働局ホームページ)

1、「第三者行為災害」とは?

まず、そもそも「第三者行為災害」とはどのようなものなのでしょうか。

  1. (1)第三者行為災害の定義

    「第三者行為災害」は、労災保険給付の原因となる労働災害が「第三者」の行為などから生じたもので、労災保険の受給権者である、被災した労働者または遺族(以下、「被災者等」といいます。)に対し、「第三者」が民事上の損害賠償義務を負っているものをいいます。

  2. (2)「第三者」の定義

    「第三者」とは、労災保険関係の当事者である、政府・事業主・労災保険の受給権者(労働者本人や遺族)以外の者です。

  3. (3)第三者行為災害の具体例

    労働災害について、第三者が被災労働者に対する損害賠償責任を負う場合の例としては、以下のパターンが挙げられます。

    • 通勤中に交通事故に遭った場合
    • 同僚の従業員、または通勤途中の通行人などから暴行を受けた場合
    • 他社が製造した製品を業務上取り扱った際に、製品の欠陥により負傷した場合
    など
  4. (4)通常の労働災害と第三者行為災害の違い

    第三者行為災害も、第三者によるものとはいえ、業務中・通勤中の災害ですから、労災保険給付の請求をすることができます
    一方、第三者行為災害が起きた場合、被災者等は、基本的には、第三者(=加害者)に対し、民法上の不法行為責任(民法709条)を理由とする損害賠償請求も行うことができ、この点が通常の労働災害との違いということになります。

2、第三者行為災害事案における労災保険給付と損害賠償の関係

  1. (1)どちらを請求するのか?

    第三者行為災害が起きた場合には、労災保険給付も加害者に対する損害賠償請求もできると説明しましたが、では、実際にはどちらを請求していくのでしょうか。

    この点については、どちらを請求しても構わないということになっています。

  2. (2)どちらも請求できるのか?

    それでは、この2つはどちらも請求できるのでしょうか。

    労災保険給付は被災者等に発生した損失を補うための制度である一方、民法709条に基づく損害賠償も同様に被災者等が受けた損害(損失)を補う性質を持っています。

    そのため、第三者行為損害が発生した場合に、被災者等が、第三者から損害賠償金を受け取りつつ、労災保険給付を受け取ると、いわゆる「二重取り」が生じることとなり、この分については差し引き調整(「控除」といいます)が行われることになります。

    二重取りが発生する範囲や、控除の具体的な処理については4章で後述します。

3、第三者行為災害における労災保険給付の請求手続き

第三者行為災害に関する、労災保険給付の請求手続きは、基本的には通常の労働災害と同様です
ただし、第三者行為災害の場合に限り、一定の書類の提出を追加で求められます。

  1. (1)労災保険給付の請求先

    労災保険給付の請求先は、請求の種類に応じて以下のとおりです。

    ① 指定医療機関で受けた治療に関する請求
    指定医療機関の窓口で「療養(補償)給付」の請求を行います
    療養(補償)給付を請求すれば、指定医療機関に対して治療費を支払う必要はなく、労災保険から直接治療費が支払われます。
    なお、指定医療機関以外で治療を受ける場合には、いったん被災労働者が治療費全額を支払った上で、その領収書などを労災請求の際に添付して治療費の請求を行うことになります。

    ② それ以外の請求
    被災労働者が所属する事業場の所在地を監督する労働基準監督署長に対して請求を行います
    労働基準監督署の所在地は、厚生労働省ウェブページから確認できます。
  2. (2)提出書類|第三者行為災害特有の書類提出も必要

    労災保険給付の請求は、各種所定の請求書(請求に対応した様式番号が割り振られています。)と添付書類を提出して行います。

    請求書は厚生労働省ウェブページからダウンロードできるほか、労働基準監督署の窓口でも交付を受けられます。

    請求書に加えて提出する主な添付書類は、請求の種類に応じて以下のとおりです。
    各給付の概要については第4項で後述します。

    請求の種類 主な添付書類
    ① 療養(補償)給付(指定医療機関以外)
    • 治療費の領収書 など
    ② 休業(補償)給付
    • 特になし
    ③ 障害(補償)給付
    • 医師の診断書 など
    ④ 遺族(補償)給付
    • 死亡診断書
    • 戸籍謄本
    • 誰が生計を維持していたかを証明する書類
    • 他の年金の受給に関する書類 など
    ⑤ 葬祭料(葬祭給付)
    • 死亡診断書 など
    ⑥ 傷病(補償)給付
    • 特になし(手続きも不要)
    ⑦ 介護(補償)給付
    • 医師の診断書
    • 介護費用の領収書 など


    さらに第三者行為災害の場合、以下の書類を追加で提出しなければなりません。

    • 第三者行為災害届
    • 念書兼同意書
    • 示談書の謄本または写し(示談が行われた場合)
    • 死体検案書または死亡診断書(死亡の場合)
    • 戸籍謄本(死亡の場合)
    • 交通事故証明書または交通事故発生届(交通事故の場合)
    • 自賠責保険などの損害賠償金等支払証明書または保険金支払通知書(交通事故の場合)

4、第三者行為災害の場合、労災保険給付を受けられる範囲は?

第三者行為災害についても、通常の労働災害と同様に、各種の労災保険給付を受けられます

ただし、責任を負っている第三者によってどの程度損害賠償がなされているか、つまり損害賠償と労災保険給付の順序関係によって、「求償」または「控除」の取り扱いが発生する点に注意が必要です

  1. (1)労災保険給付の種類

    第三者行為災害に関して、被災労働者(または遺族)が請求できる労災保険給付の種類は、以下のとおりです。

    ① 療養(補償)給付
    指定医療機関での治療を無料で受けられるほか、指定医療機関以外の医療機関で治療を受けた場合には、治療費等の実額が補償されます。

    ② 休業(補償)給付
    労災による疾病・負傷の治療・療養のために仕事を休んだ場合、休業4日目から平均賃金の80%が補償されます。

    ③ 障害(補償)給付
    後遺症がある場合、残存した障害等級に応じた金額の給付が行われます。

    ④ 遺族(補償)給付
    被災労働者が死亡した場合、遺族の生活保障を目的とする給付が行われます。

    ⑤ 葬祭料(葬祭給付)
    被災労働者が死亡した場合、葬儀費用を補償する目的の給付が行われます。

    ⑥ 傷病(補償)給付
    傷病等級3級以上の重篤な負傷や疾病が、1年6か月以上治らない場合に給付されます。

    ⑦ 介護(補償)給付
    傷病等級1級、または2級の精神・神経障害および腹膜部臓器の障害がある被災労働者が、現に介護を受けている場合に給付されます。
  2. (2)損害賠償と労災保険給付の順序関係について

    ① 労災保険給付が損害賠償より先の場合|全額給付を受けられる
    被災労働者(または遺族)が、第三者行為災害について責任を負う第三者から損害賠償を受けていない段階では、労災保険給付を全額受給することが可能です。

    この場合、損失については労災保険給付で回復されることになります。
    他方、上記二重取りを防ぐという趣旨から、労災保険給付がなされた分について加害者である第三者が責任を免れるとなると、それでは納得がいかないと思われるかもしれません。

    第三者行為災害が起きた場合、被災者等の損失(損害)のてん補は、最終的には加害者である第三者が行うべきです。

    そこで、労災保険給付が先に行われた場合、政府は、労災保険給付と引き換えに、被災者等が有する第三者に対する損害賠償請求権を取得して、この権利を第三者に対して直接行使します(つまり、最終的な金銭負担は第三者がすることになります)。
    これを「求償」といいます。(労働者災害補償保険法第12条の4第1項)。

    なお、労災保険給付を先に受給する場合でも、労災保険給付について補償されない損害(二重取りが発生しない部分)は、第三者に対し損害賠償を請求していくことになります。
    具体的には、以下の損害などが労災保険給付について補償されない損害にあたります。

    • 精神的苦痛に対する慰謝料
    • 自動車の修理費用
    • 遺体捜索費
    • 義肢費用
    • 補聴器費用
    など


    ② 損害賠償が労災保険給付よりも先の場合|賠償額が給付から控除される
    被災労働者(または遺族)が、第三者行為災害について責任を負う第三者からすでに損害賠償を受けているケースも想定されます。

    この場合も上記二重取りを防ぐという趣旨が妥当します。
    そのため、政府は労災保険給付の金額から、同一の事由に基づく損害賠償の価額を差し引くことができます

    これを「控除」といいます(労働者災害補償保険法第12条の4第2項)。
    なお、上記労災保険給付によって補償されない損害(二重取りが発生しない部分)については、先に第三者から損害賠償を受けていたとしても、控除による調整は行われません

5、会社・第三者に対する労災の損害賠償請求は弁護士に相談を

労働災害に遭った場合、労災保険給付によって一定の補償を受けることはできますが、すでに述べた通り、精神的苦痛に対する慰謝料等についてはカバーされておらず、必ずしも損害全額の補償を受けられるわけではありません。

労災保険給付が実損害に不足する場合、会社や第三者(加害者)に対する損害賠償請求を行うことで、不足額についても賠償を受けられる可能性があります
会社や第三者に対する損害賠償請求を行う際には、弁護士へのご相談がおすすめです。

弁護士は、労働災害の内容や、被災労働者(または遺族)が置かれている状況などを踏まえて、迅速に損害賠償等を獲得するために最善の方法を尽くします。
ご自身やご家族が労働災害にあってしまった方は、お早めに弁護士までご相談ください。

6、まとめ

今回は「第三者行為災害」について大まかに説明しました。概ねどのようなものか、イメージを掴むための一助としていただければと思います。

第三者行為災害は労災保険給付と不法行為責任に基づく損害賠償請求との、バランス調整のための制度として設計されたもので、内容を突き詰めると非常に複雑です。

安易に対応したことで得られたはずの給付を失った、ということがないよう、労働基準監督署だけでなく、労災事件を含む民事事件の知見が豊富な弁護士に相談することが重要です。

ベリーベスト法律事務所は、労働災害に関する被災労働者やご家族からのご相談を随時受け付けております。
業務上の原因により、または通勤中に生じた疾病・負傷にお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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