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不法侵入になるのはどこから? 「住居侵入罪」について解説

2023年08月15日
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不法侵入になるのはどこから? 「住居侵入罪」について解説

窃盗犯の多くは、住居や店舗などに不法侵入して金品を盗むため、窃盗罪とセットで住居侵入罪などが成立します。では、他人の庭に入った場合やホテルのロビーに宿泊しないのに入った場合には、住居侵入罪や建造物侵入罪になってしまうのでしょうか?

「住居侵入罪」という罪名自体は、よく知られています。しかし、「どこからが住居侵入罪になるのか」という点については、具体的に知らない人も多いでしょう。

本コラムでは、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスの弁護士が、住居侵入罪などが成立する要件や逮捕された場合の対処法について解説いたします。

1、不法侵入とは

「不法侵入」という言葉そのものは、法律用語ではありません
「住居や建物に侵入すること」に関する罪状は、法律上では、下記の四種類が存在します。

  • 住居侵入罪
  • 邸宅侵入罪
  • 建造物侵入罪
  • 艦船侵入罪


「住居侵入罪」における「住居」とは、日常生活に使用されている場所をいいます。
建物に限らず、居住の用に供されているのであれば、キャンピングカーなども含まれます。また、一時的な使用でも構わないため、ホテルの客室も「住居」にあたるのです。

「邸宅」とは、日常的に使用されていない居住用の建物で、別荘や空き家などがこれにあたります。

「建造物」とは、住居と邸宅以外の建物です。たとえば、学校、官公署の庁舎、店舗、事務所、トイレなどが「建造物」にあたります。

「艦船」とは、人が泊まれる程度の船舶です。具体的には、大型クルーザーなどが対象になります。一方で、手こぎボートなどは艦船には含まれません。

住居侵入罪が何を保護法益としているのかについては、専門家の間でも争いがあります。
具体的には、「住居の事実上の平穏」と考える立場と、「住居に対して誰を立ち入らせるかの自由」と考える立場があり、現在の判例では後者の立場の考えを採用しています。
この考え方によれば、「住居権者の(明示または黙示の)意思に反して立ち入る」行為が、住居侵入となります。

なお、住居侵入罪における既遂と未遂の区別は、身体の全部が住居や敷地に入るかどうかで判断されます。
したがって、塀を乗り越えようとしている段階では未遂となり、庭に着地した時点で既遂になります。
住居侵入罪の法定刑は、「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です

2、不法侵入(住居侵入罪)になる境界線

住居侵入罪は住居権者の意思に反して立ち入った場合に成立する犯罪であるため、住居権者の同意があれば、住居侵入罪は成立しません。
つまり、「住居権者の意思次第」ということです
友人や恋人などを自宅に招き入れることは住居権者が住居に入ることを承諾しているので、犯罪が成立しないわけです。

以下では、住居侵入罪になるか否かの境界線について、具体的な例を用いながら解説します。

  1. (1)住居侵入罪の具体例

    ① 合鍵での侵入
    「以前に合鍵を渡してもらった相手の部屋に、相手に無断で入る」という行為は、背景にある事情によって、住居侵入罪が成立するかどうかが分かれます
    基本的に、合鍵を渡すという行為は、住居権者が相手に対して「いつでも自分の部屋に、自由に入ってよい」という意思を示します。そのため、たとえば現時点で付き合っている恋人同士の間柄であれば、住居権者に断りなく、渡された合鍵を使って住宅に入ったとしても、住居侵入罪は成立しません。

    ただし、「部屋に来る場合は必ず事前に連絡してほしい」と言われていたのに無断で侵入した場合には、住居侵入罪が成立する可能性があります。
    このような場合では、そもそも「いつでも自分の部屋に入ってよい」という意思を、合鍵を渡した側が示していないためです。

    また、相手との恋愛関係が破綻して別れた後なのに、合鍵を返却しておらず、その合鍵を使って住宅に侵入した場合には、住居侵入罪が成立すると考えられます。
    この場合、別れたことにより、住居に入ることの承諾は解消されていると考えられるからです。

    ② 郵便受けへのチラシ配り
    マンションの共用部分へ居住者以外の人が立ち入ることが許されるのかについては、共有部分に立ち入る目的が問題になります

    たとえば、窃盗目的でマンションに入った場合には、共用部分までの立ち入りであっても住居侵入罪が成立します。
    そのような目的で立ち入ることを知っていたのであれば、住居権者ないし管理権者は立ち入りを承諾しなかったと考えられるからです。

    他方、チラシの投函(とうかん)などは違法な目的ではないので、住居権者ないし管理権者の意思に反するとまでは言えず、住居侵入罪は成立しないと考えられます。

    ③ 宅配業者の配達
    宅配業者が荷物の配達のために、マンションの敷地内に入る行為は、「正当行為」にあたります。そのために違法性はなく、住居侵入罪は成立しません。

    ④ ホテルのロビーや店舗への侵入
    ホテルのロビーや店舗などは不特定多数の人が立ち入ることを想定しており、管理権者は事前にそれを承諾しているものと考えられています。
    そのため、利用のためにホテルのロビーや店舗に入店しても、住居侵入罪は成立しません。

    ただし、万引き目的で入店するなど、不法な目的で入店した場合には、窃盗目的でマンションに入るのと同様に、住居侵入罪が成立すると考えられています

  2. (2)逮捕されるかどうかの判断基準

    住居侵入罪は他の犯罪の手段として成立することが多い犯罪です
    たとえば、空き巣は住宅に侵入して金品を盗む行為であるため、窃盗罪にあたる行為の手段として住居侵入罪にあたる行為が行われることになります。
    そのほかにも、強盗罪や強制性交等罪、殺人罪の手段としても、住居侵入罪が問われることがあります。
    逆に言うと、住居侵入罪単独で逮捕されることはあまりない、とも言えるのです。

    他の犯罪の手段として住居侵入罪が問われる場合、目的となる犯罪の罪が重いことが多いので、住居侵入罪で逮捕される可能性も高くなります
    たとえば、空き巣の場合、容疑が明らかな住居侵入罪でまず逮捕したのちに、取り調べを行い、勾留期限が過ぎそうなタイミングに窃盗罪で再逮捕する、という運用が行われているのです。

    警察によるこのような運用は、被疑者の人権という観点からすると決して正当ではなく、批判の対象ともなっています。
    しかし、「窃盗罪で逮捕するだけの証拠が集まっていない」と判断した警察が被疑者を住居侵入罪で逮捕する、という運用が行われてしまっているのが日本の現状なのです。

    一方で、他の犯罪がなく住居侵入罪のみの容疑で逮捕される場合とは、被害者から被害届が提出された場合が多いと言えます
    警察としては、被害届も提出されていないのに、住居侵入罪の名目で捜査して被疑者を逮捕しても、後で住居権者から「住居への立ち入りには同意があった」と言われたら、捜査や逮捕が無駄になってしまいます。
    住居侵入罪は、法律上は非親告罪(被害者の告訴でも起訴が可能な犯罪)ですが、住居権者の意思に反して侵入されたということを立証するためには、住居権者の協力が不可欠であるため、実質的に、警察は被害届がなければ動かないこともしばしばあります。

    ただし、柵を越えて侵入した様子が防犯カメラに写っているような場合には、被害届がなくても「住居権者の意思に反した、侵入行為がある」と客観的に認定できるため、被害届の提出がなくても逮捕される可能性があります。

3、不法侵入(住居侵入罪)で逮捕された後の流れ

  1. (1)逮捕・勾留

    警察に逮捕されると、取り調べが行われ、逮捕から48時間以内に、微罪処分でない限り身柄が検察庁に送致されます。
    「微罪処分」とは、犯罪が軽微な場合に検察庁に送致せず警察が釈放する手続きです。住居侵入罪単独の場合には微罪処分になる可能性はあります。

    微罪処分とならず、身柄が検察庁に送致されてきた場合は、24時間以内に勾留するか釈放するかを決める必要があります。
    勾留請求がなされて、請求が認められると10日間の勾留となり、追加の捜査が必要ならさらに10日間の勾留延長が認められます

  2. (2)起訴・不起訴の判断

    検察官の取り調べが終了すると、「起訴」か「不起訴」が決められます。
    不起訴になると、即刻釈放されますが、起訴されると刑事裁判になり、非常に高い割合で有罪になります。
    つまり、有罪を回避するためには、起訴されるか否かがもっとも重要なポイントになるのです

  3. (3)起訴・公判

    起訴後は、原則として起訴後勾留が始まりますが、保釈請求が認められれば、保釈金を納付して身柄を解放してもらうことができます。
    刑事裁判が始まると、冒頭手続、証拠調べ手続、弁論手続、判決の宣告という流れで公判手続が進みます。

  4. (4)有罪・無罪

    判決で無罪となれば釈放になりますが、有罪となれば、上訴するか検討することになります。判決に不服がある場合には、控訴することになります。

    控訴状は、終局判決をした第一審の裁判所に提出します。
    判決が告知された日から14日以内に控訴しないと、判決が確定することになります。

4、不法侵入(住居侵入罪)で逮捕された後の対処法

住居侵入罪で逮捕された場合、すぐに弁護士に依頼することが肝心です

依頼された弁護士は、警察の取り調べに対してどのような対応をすべきなのか、アドバイスを行います。
具体的には、黙秘権があることや、自分が納得していない内容の調書については絶対に署名しないことなどを、逮捕された方に伝えます。逮捕されると外部との連絡が一切できなくなるので、弁護士を通じて関係者と連絡をとり得るという点も重要です。

依頼された弁護人は、警察に対して、悪質性がない場合には、微罪処分にするよう求めます。また、被害者に会って加害者(被疑者)が反省している旨を伝えて、示談交渉を行い、被害届の取り下げを依頼するなど釈放に向けて働きかけを行います

検察庁に送致された場合には、勾留されずに不起訴になるよう引き続き弁護活動を行います。
勾留されてしまった場合でも、引き続き被害者と示談交渉を行い、不起訴となるよう検察庁に働きかけます。

万が一、起訴されてしまった場合にも、刑事弁護人として刑が軽くなるよう弁護活動を行います
他の犯罪も犯しているような場合には、懲役刑が求刑されることもあるので、そのような場合には、執行猶予が付されるよう身元引受人を探したり、情状を求める陳述書を提出したりするなどの、弁護活動を行います。

5、まとめ

本コラムでは、他人の住宅などに立ち入る行為が不法侵入(住居侵入)となるか否かの境界線や、逮捕後の処理などについて解説してきました。「自分は不法侵入などしない」と思っていても、酔っ払って他人の家の庭に入り、通報されて逮捕されるなどということはありえます。

万が一逮捕されてしまった場合には、すみやかに弁護士に依頼することをおすすめします。刑事事件では逮捕や勾留の期限が合計でも23日と短いため、その間に示談交渉や釈放に向けた取り組みをしなければならず、迅速な対応が求められます。

ベリーベスト法律事務所には、刑事弁護の経験豊富な弁護士が在籍しております。地方の各オフィスでも、グループ内の刑事事件専門チームとも連携しながら、ご相談者の窮地を救うためにサポートいたします
栃木県宇都宮市や近隣市町村にご在住で、ご自身やご家族が逮捕されてしまったという場合には、まずはベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスにご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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