借金をなくす方法は? 減額か帳消しか、あなたに合った債務整理を弁護士が解説
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借金の返済に追われる生活というのは、本当につらいものです。
借りたお金は返すのが当然ですが、気付いたときには返済できないほど金額が膨れ上がっていた……ということもあるでしょう。
ちなみに、宇都宮地方裁判所には、平成29年の1年間で915件の破産申し立てがなされています。全国的に破産件数がピークにあった平成15年の2941件とくらべるとその数はだいぶ減っていますが、まだまだ多くの人が借金に苦しんでいるといって良いでしょう。
「なんとか借金をなくす方法はないだろうか……?」このようなお悩みをお持ちの方に、結論からお伝えしますと、借金はなくす(あるいは減らす)ことが可能です。ただし、その方法は法律で決められたものでなければなりません。
今回は、借金をなくす4つの方法について、宇都宮オフィスの弁護士が解説します。落ち着いた生活を取り戻すため、一緒にご自身に合った解決方法を見つけだしましょう。
出典:「司法統計」(裁判所)
1、借金をなくす4つの方法
借金をなくすための方法として「過払い金請求」や「債務整理」があげられます。
過払い金請求は、必要以上に返した金額を把握し、その分の返還を請求する手続きとなります。債務整理は、正確な債務額を把握し、適切な方法で整理することで、借金を根本から解決することが可能になります。
債務整理は大きく、「任意整理」・「個人再生」・「自己破産」に分けられます。過払い金請求や債務整理それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、また、借金の額などによって向き・不向きがありますので、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。
2、利息を払い過ぎているなら「過払い金請求」
過払い金請求とは、利息制限法の上限(元本額10万円~100万円の場合、金利18%以上)を超えて返済したお金(過払い金)を、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者から返してもらう手続きのことです。
過払い金として取り戻したお金を現在の借金の返済にあてることができるため、たとえば、借金があと100万円残っている状態で過払い金請求を行い、100万円取り戻すことができた場合には借金がなくなります。
過払い金請求は、借金を完済した後であっても、返済中であっても行うことができます。ただし、返済中の過払い金請求に関しては、戻ってきた過払い金で完済できない場合、任意整理扱いとなり、個人信用情報に事故情報が記載されてしまいます。これは一般的に言う、ブラックリストに載ることを指します。とはいっても、返済が滞っている状態であっても個人信用情報には延滞情報が記載されてしまいますので、過払い金請求がむいているかは、ご自身の借金の返済状況次第といえます。
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(1)過払い金請求のメリット
過払い金請求を行う最大のメリットは、過払い金があった場合、返し過ぎたお金が戻ってくるということですが、そのほかにも以下のようなメリットが考えられます。
- 自己破産などと違い、裁判所を通さずに行える場合があり、負担が少ない
- 過払い金によって借金を完済できれば、ブラックリスト(個人信用情報)に載らない
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(2)過払い金請求のデメリット
自身が払い過ぎたお金を返すよう請求することは、本来、正当な権利といえますから、デメリットはさほどありませんが、以下のような可能性が考えられます。
- 過払い金請求をした貸金業者からは二度と借り入れができなくなる(追加で借りることができなくなる)
- 貸金業者が、過払い金の有無について反論してくる場合がある
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(3)過払い金の有無は調べることができる?
過払い金があるかどうかを知るためには、まず、貸金業者に取引履歴の開示を求める必要があります。その取引履歴をもとに、適法な利率による再計算を行うことで過払い金発生の有無がわかるのです。
過払い金請求はご自身でも行うことができますが、取引履歴の開示や正確な計算などを自分だけの力で行うのは簡単ではありません。この点、弁護士に依頼することでスムーズに行えますので、「過払い金が発生しているのでは?」と少しでも感じている方や、「過払い金の有無を知りたい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。 -
(4)どんな人が過払い金請求に向いている?
「平成22年頃より以前に借り入れを始めた人」は、過払い金が発生している可能性が高いため、過払い金請求に向いているといえるでしょう。ここでは詳しい説明を割愛しますが、同年に完全施行された「改正貸金業法」によって、いわゆる「グレーゾーン金利」が撤廃されたことが理由です。ただし、あくまでも目安に過ぎませんので、きちんと調査を行うことが大切です。
もうひとつ、過払い金請求がおすすめなパターンとして、「複数の貸金業者から借り入れをしていて、過払い金によって完済に至る業者がある」というケースが挙げられます。前述したように、返済中の過払い金請求は、それによって完済に至らなければ信用情報に記載されてしまいますが、完済となる業者にだけ過払い金請求をすることで、ブラックリストに載ることなく借金の総額を減らすことができます。
3、債権者との交渉で借金を減らす「任意整理」
任意整理とは、貸金業者などの債権者と交渉をすることで、将来利息のカットや毎月の返済額の変更などをしてもらい、返済を楽にする手続きです。個人再生や自己破産と比べ利用されることが多い方法になります。
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(1)任意整理のメリット
任意整理の一番のメリットはやはり、返済の負担が軽くなることでしょう。
そのほかには、以下のようなメリットが考えられます。- 裁判所を通さない手続きのため、負担が比較的軽い
- 任意整理の手続きにとりかかった時点から、取り立てを止めることができる
- 一定の職業に就けなくなる(職業制限)ということがない
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(2)任意整理のデメリット
デメリットとしては、「元本の減額は難しいことが多い」、「信用情報に事故情報が記載され、およそ5年間借り入れができなくなる」といったことが挙げられます。
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(3)どんな人が任意整理に向いている?
「長期間借り入れをしている人」は任意整理に向いていると考えられます。任意整理の手続きにあたっては、適正な利率に基づいて引き直し計算を行います。それによって、これまで払い過ぎている利息を借金から差し引くことができるため、長期間借り入れをしている人ほど大きく減額できる可能性が高いのです。
次に、「周囲にバレずに債務整理したい人」というのが挙げられます。任意整理は、「個人再生」や「自己破産」と違い、裁判所へ行く必要がないため、家族や職場に知られるリスクが少ないといえます。
また、「保証人付きの借金がある人」も任意整理に向いているといえるでしょう。保証人が付いている借金を債務整理すると保証人に迷惑がかかってしまいますが、任意整理では、特定の債権者からの借金だけを整理することができます。保証人付きの借金を除外して任意整理することで、保証人に迷惑をかけずに借金を減らすことが可能です。
4、借金を大幅に減らすなら「個人再生」
個人再生は、裁判所に申し立てて借金を減らす手続きです。大幅(一般的には5分の1ほど)に減額した借金を3~5年の分割で支払い、残りの債務については免除してもらいます。
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(1)個人再生のメリット
個人再生のメリットはなんといっても、大幅に債務を減らすことができることでしょう。また自己破産と違い、「住宅ローン特例」という制度を利用することで、住宅などを手放さずに行えるのも大きなメリットといえます。
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(2)個人再生のデメリット
個人再生のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 信用情報に事故情報として記載され、今後5~10年の借り入れができなくなる可能性がある。
- 国が発行する「官報」に住所氏名が掲載される。
- 個人再生は、自己破産と異なり、一定額は返済する必要があるので、その分、経済的な負担は大きい。
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(3)どんな人が個人再生に向いている?
個人再生は、借金の減額幅が大きいのが特徴のため、「多額の借金がある人」は向いているといえるでしょう。ただし、個人再生の手続きができるのは、「住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円以下」の人なのでそれ以上の借金がある人は行うことができません。
また、メリットとしても紹介したように、「持ち家を手放さず債務整理したい人」にも向いている手続きといえます。そのほか、「多額の借金があるけれど、自己破産は避けたい」といった場合にも検討する価値があるでしょう。
5、借金をゼロにする「自己破産」
自己破産とは、裁判所に「破産申立て」をし、「免責許可」をもらうことで、(税金や養育費などを除く)借金を帳消しにするという手続きです。住宅や車といった財産は換価処分(金銭に換えること)されてしまいますが、99万円以下の現金や家具・家電など、最低限度の生活を営むために必要な財産については残すことができます。
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(1)自己破産のメリット
自己破産することですべての債務の支払い義務がなくなりますから、「新たな生活を始められる」というのが最大のメリットとなるでしょう。
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(2)自己破産のデメリット
やはり、「財産を没収されてしまう」というのが大きなデメリットでしょう。また、「一定の期間、弁護士・司法書士・生命保険募集員・警備員などの職業に就けなくなる」といったデメリットもあります。それに加えて、個人再生と同様に、破産したことが、官報に掲載されるというデメリットがあります。
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(3)どんな人が自己破産に向いている?
任意整理や個人再生をするためには「安定した収入(アルバイトなどでも可)」でなければなりませんが、自己破産に関してはそういったことは求められません。したがって、「収入が不安定な人」は自己破産に向いているといえそうです。
ちなみに、「借金の原因がギャンブル」などの場合は、原則、自己破産が認められません。もっとも、そのような場合でも、破産が認められる場合がありますので、破産できるかについては、弁護士に相談して確認してみてください。
自己破産は最後の手段といえますから、手続きをすることに抵抗がある方も多いでしょう。ただ、ひとつ言えることとしては、「自己破産=すべてを失う」というわけではないということです。もし、「返済や取り立てに追われる日々から抜け出して、人生をやり直したい」そのようにお考えでしたら、一度、弁護士などに相談してみてはいかがでしょうか。
6、まとめ
過払い金請求と債務整理の方法について解説してきましたが、もっとも大切なことは「自分の借金の状態に合った方法を選択する」ということです。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理に詳しい弁護士が、長期的に考えて最善といえる解決手段を提案しています。無料相談も行っていますので、まずは一度、相談にいらしてみてください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています