弁護士が解説! どうしても借金が返せないときにできる法的解決法とは?

2019年08月07日
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弁護士が解説! どうしても借金が返せないときにできる法的解決法とは?

いくつもの貸金業者から借金を繰り返した結果、利息の返済だけでも大変なことになっている方は、宇都宮市内にもいらっしゃいます。宇都宮市では、多重債務者に向けた相談窓口を設置しており、解決に向けたアドバイスを行っています。

しかし、中には、相談へ行く余裕もなく、利息分を返すためだけに新たな借金をしなければならない状況に陥っているケースもあるでしょう。借金の返済のためにまた借金を重ねる、この状態を「多重債務者」といいます。

今回は、借金があるにもかかわらず、失業などの事情により返済ができなくなった場合にどうすればよいのかについて、ベリーベスト法律事務所・宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

1、借金を返せないときの自己破産と債務整理

学生ローンやカードローンなどは気軽に借金を重ねてしまうため「気づけば借金が増えている」となることも珍しくはありません。突然体調を壊して働けなくなってしまい、ローンに手を出さざるを得なかったというケースもあるでしょう。

どうしても返済できない、返そうとすると相当の無理が必要となる、といった場合には、生活を立て直すための仕組みや制度が法律上用意されています。

  1. (1)最終手段としての自己破産

    借金返済がいよいよ不可能となった場合、まず思い浮かべる債務整理方法といえば「自己破産」ではないでしょうか。

    自己破産とは破産法に定めのある制度で、債権者保護のための仕組みです。裁判所に破産申立を行い、すべての借金をゼロにします。生きていくために必要な財産は手元に残しておけますが、それ以外はお金に換えて返済に充てます。

    それでも残る債務については、返済すべき責任を免れることができるのです。

    ただし、一部の債務は「非免責債権」といい、自己破産によっても支払いを免れることはできないため注意が必要です。具体的には、ギャンブルによって作った借金や、税金や罰金、損害賠償金、養育費などが該当します。

    なお、自己破産には一定のデメリットがあります。具体的には、以下のとおりです。
    •信用機関の情報に登録される(ブラックリストに登録される)ため、一定期間ローンやクレジットカードが使用できなくなる
    •官報に公告される
    •一定の職業に就くことや公的資格の使用が制限される
    •破産手続中は移転できない
    •破産手続中は郵便物が自宅に届かず破産管財人のチェックを受ける

  2. (2)返済負担を軽減する任意整理

    自己破産と比べると手軽に行えるのが任意整理です。

    任意整理とは、債務者と債権者が裁判外で話し合って、返済計画を見直してもらうことをいいます。たとえば、支払える範囲の分割払いにしたり利息を減らしたりできるよう、交渉していきます。

    これは、裁判所などが債権者に対して減額を強制するような仕組みではありません。あくまでも個々の話し合いと合意に委ねられることから「任意」整理と呼ばれます。裁判所が関与しないため、複雑な手続きも厳格な方式もありませんし、日時を決めて出廷する必要もありません。

    借金の返済計画を見直すからには、業者自身の意思で譲歩することになります。そこで、月々いくらの収入があり、いくらずつ返済すればどのくらいの期間で完済できるかという返済計画の現実性が求められます。

    ただし、債務者が単独で任意整理の交渉を試みたとしても、債権者である業者側からは相手にされないことがあります。弁護士を伴ってきちんと打ち合わせることにより、業者側の譲歩を引き出しやすくなるでしょう。

    任意整理のデメリットは、信用情報に登録されることでしょう。しばらくの間、クレジットカードやローンの使用はできなくなります。また、前述のとおり、債権者との合意が必要ですので、他の手段に比べて、返済額が多くなる可能性が高いです。

  3. (3)裁判所が介入する個人再生

    元々企業向けの仕組みだった民事再生を個人でも利用できるようにしたのが個人再生という仕組みです。個人再生は、民事再生法という法令を根拠に定められています。

    個人再生とは、裁判所を通して行う手続きで、借金を一定の基準に基づいて減額し、原則として3年間(最長5年間))の分割払いにする方法です。

    手続きが厳格な分だけ効果も強力であり、任意整理よりも債務を大幅に減額させることが可能です。債務の額にもよりますが、5分の1から10分の1にまで減額できる可能性があります。

    自己破産に見られるような資格制限やほとんどの財産の処分といったデメリットがありません。さらに、住宅ローン特則という条項により、自宅を処分しなくてもよいというメリットがあります。

    個人再生を行うデメリットは、信用情報と官報に記録が掲載されることと、減額されるとはいえ、一定の債務が残ってしまうことでしょう。

  4. (4)過払い金の請求について

    借金の減額や整理とはやや異なるものの、過払い金の請求についても確認しておきましょう。

    過払い金とは、借金返済時に払い過ぎた利息をいいます。過払い金の発生原因だったグレーゾーン金利は、現在では認められていません。以下の条件に合致する方は、弁護士に相談することで過払い金を取り戻せる可能性があります。
    •平成22年6月17日の改正貸金業法の完全施行前に借金をしていた。
    •借金の完済から10年以内である。

    過払い金を取り戻すことそのものにデメリットはありません。すでに完済している契約であれば、信用情報に掲載されることもなくお金だけを取り戻すことができます。

2、それぞれの手続きがどのような方に向いているか

このままでは借金の返済ができないという場合に行う債務整理方法は、前述のとおり複数あります。どの方法が適しているのかについては、債務者の状況に応じて異なります。

それぞれどのような方に向いた方法なのか、順に見ていきましょう。

  1. (1)自己破産が向いている方

    借金が多額に上り、多少の返済計画を変更したくらいでは到底返済しきれないというケースや、残したい財産がないようなケースは、自己破産が向いているでしょう。

    自己破産の最大のメリットは、一定の財産(自由財産)を除いて換価処分と配当を行うことで、ほぼすべての債務を帳消しにできることです。つまり、そもそも財産をあまり持っていない方、無職の方、もしくは特定の職業に就いていない方であれば、自己破産によるデメリットはあまりないといえます。

  2. (2)任意整理が向いている方

    任意整理の場合、分割払いへの変更や利息の減額といった処置さえあれば返せるというケースに向いています。また、裁判所での公的な手続きを行うわけではないため、ご家族に知られずに借金問題を片付けたい方にも適しています。

    そのほか、連帯保証人がついている債務など、特定の債務を優先して返済したいという場合にも、任意整理を選ぶとよいでしょう。裁判所を通じて行う自己破産などでは、債権者はすべて平等に扱われるため、特定の債務のみを返すという形にできません。

  3. (3)個人再生が向いている方

    個人再生は免責が不許可になる事由がないため、免責不許可事由に該当し自己破産ができない方でも利用できます。加えて、任意整理とは異なり、債権者による反対が多数の場合でも手続きを進めることできます。

    もっとも大きなメリットとしては、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)があるため、自宅を処分しなくてよいという点です。「マイホームを手放したくない」という方は、個人再生を選ぶとよいでしょう。

3、債務整理手続きを専門家に依頼する利点

債務整理は、借金をゼロにしたり、減額したりできる方法ですが、もちろんデメリットがあります。

そもそも、自己破産や個人再生は裁判所も関与する厳格な手続きです。法律の専門知識を持たない方がすべての手続きをひとりで行おうとすれば、非常に難しい手続きとなるでしょう。また、任意整理では、貸金業者と交渉しなければいけません。

しかし、弁護士に依頼することで、専門的な手続きを誤りなく進められますし、貸金業者との交渉もスムーズに行えるでしょう。また、債務整理を弁護士に委任した直後から、業者などからの督促を止めることができます。日々の督促に悩む方にとっては大きなメリットとなるのではないでしょうか。

人生を再スタートさせるためにも、弁護士のサポートを受けて、きちんと手続きを進めることをおすすめします。

4、まとめ

現状では借金がどうしても返せない場合にも、返済計画を見直したり、金利を引き下げてもらったりと、借金を何とかする方法はいくつかあります。返せないまま八方ふさがりになるよりは、早めに弁護士にご相談いただき、生活を立て直すほうがよいでしょう。

事情により借金の返済が滞っている方、このままでは返せなくなりそうだという方は、まずはベリーベスト法律事務所・宇都宮オフィスまでご相談ください。無理のない返済計画を考え、あなたにとってベストと考えられる方法を提案します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています