自分に過払い金があるかを確かめる方法は? 宇都宮オフィスの弁護士が解説します
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テレビやラジオなどで、「過払い金」というフレーズを耳にされたことがある方も多いでしょう。以前に借金をしていたのであれば、完済していたとしても過払い金がある場合があります。宇都宮市では借金に借金を重ねる「多重債務」の相談窓口を設けていますが、そのように借入先が多く複雑になれば、払わなくてもよい利息を払っていた可能性も生じやすくなるでしょう。
今回は、「もしかしたら自分にも過払い金があるかも?」と疑問に思われた方へ向けて、過払い金の有無の確認方法や請求手続きなどについて、宇都宮オフィスの弁護士が説明します。
1、過払い金とはどのようなものか
過払い金とは、借金返済の際に払い過ぎていた利息です。過払い金の返還請求について確認する前提として、どのような方に過払い金の生じている可能性が高いか、なぜ過払い金が生じたのかを簡単に解説します。
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(1)過払い金がある可能性があるケースとは
- 平成22年(2010年)の6月17日より前に借金をした
- 借金を返済し終えてからまだ10年がたっていない
この条件に該当するケースは、過払い金が生じている可能性があります。
逆に、借金をしたのがごく最近であったり、完済から10数年が経過していたりする場合は「過払い金はない」と考えてよいでしょう。
同じ借金なのに、どうしてこのような違いがあるのでしょうか。 -
(2)過払い金とグレーゾーン金利
金融業においては「いくらまで利息を取っていいですよ」という利率が、法律によって定められています。お金を貸す側と借りる側の間には明白な力関係があるため、貸し借りをする当事者たちの自由に委ねておくと、高い利息となりかねず、社会問題が生じるためです。
そもそも、貸金の利率を定める法律は2つあります。「利息制限法」と「出資法」です。借り主を保護するための法律が利息制限法であり、貸主を規制するための法律が出資法と捉えるとイメージしやすいでしょう。
利息制限法が定めていた金利は、10万円未満が20%、100万円未満が18%、それ以上が15%というものです。借りたお金が多いほど利率が低くなっています。これに対し出資法では、上限金利が一律で29.2%と定められていました。
そのため、この2つの法律で上限の金利に差が生じていたのです。これをグレーゾーン金利といいます。
出資法に違反した金融業者には、刑事罰が科されることになります。一方、利息制限法の上限を超える金利は原則として無効であるものの、一定の条件を備えれば有効とされていました。その結果、多くの金融業者は出資法に定められた29.2%を上限とする貸し付けを行っていたのです。 -
(3)最高裁判所の判決と法律改正
しかし、このような曖昧な状況のままでいることは、社会を混乱させます。そのうえ、借り主の保護も不十分となってしまいます。そこで、最高裁判所による平成18年1月13日判決で、利息制限法に定めた上限を超える金利の受領(みなし弁済)を事実上否定し、それを受けて貸金業法と出資法が改正されました。
この改正貸金業法および出資法が施行されたのが平成22年6月18日です。これにより出資法の金利上限が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が撤廃されました。
したがって、それ以降なら過払い金は発生しないため、借金が平成22年の6月17日より前か後かが問題となるのです。
また、過払い金があったとしても、その返還請求権は10年たてば時効によって消滅してしまいます。したがって、借金完済後10年を経過しているかどうかが、「過払い金を受け取れるかどうか」の分かれ道となります。
2、過払い金があるかどうかの確認方法
仮に過払い金があったとしても、金融業者側がわざわざ教えてくれるわけではありません。こちらから調べて請求をする必要があります。
そこで次に、具体的な過払い金の有無をどのように確認するか、その方法をご説明します。
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(1)自力で確認するには
時間的余裕があり、多くの金融業者から借金をしているわけではないのであれば、過払い金の有無を自力で確かめてみてもよいでしょう。
まずは、お手元の取引残高報告書や支払い通知書を参照する方法があります。これらは金融業者から送られてきているはずの書類で、いつ、いくら借り入れたかが記載されているものです。
次に、信用情報機関へ照会する方法があります。「信用情報」とは、過去に金融機関と行った取引のデータです。この信用情報を管理しているのが信用情報機関であり、CIC、JICC、全国銀行協会の3つがあります。これらの機関に登録してある業者から借り入れしていた場合は、情報開示請求を行うことで、取引内容や契約日などを確認できます。
さらに、貸金業者に対して取引履歴の開示を請求するという方法があります。業者の側では開示請求があれば、それに応じる義務があるため、どの程度の金利でいくら借り入れたかを知ることができます。
以上の方法により、契約内容について正確に把握した後は、利息制限法に定められた金利にあわせて、本来支払うべき金額はいくらだったのかを月ごとに引き直して計算します。
借りた金額や契約内容によっても異なるため、丁寧に計算しましょう。 -
(2)弁護士などに相談する
これに対して、時間的な余裕があまりない、あるいは複数の業者から多くの借金を繰り返しているというようなケースでは、弁護士や司法書士へ相談したほうがよいでしょう。
借金の件数や額が多いと手元の書類も紛失している可能性がありますし、また信用情報機関や業者への開示請求も手間ひまが掛かります。手続きに手間取っているうちに時効が到来し、請求権が失われてしまっては目も当てられません。
弁護士や司法書士であれば、手続きに慣れているため、素早く確実に過払い金のチェックと返還請求を進めてくれます。
なお、弁護士と司法書士の主な違いは、代理できる法律事務の範囲にあります。債権の総額が140万円を超える場合、司法書士では交渉や訴訟に携われません。弁護士にはそのような金額面の制限がないことから、相談いただいた案件すべてについて、訴訟まで見据えた一連の交渉を行うことができます。
したがって、特段の理由がないのであれば、弁護士に相談したほうが確実でしょう。
相談の際には、お手元の取引残高報告書や支払い通知書を用意し、できるだけ「いつ」「何社から」「いくら」借りたのかということを説明できるようにしましょう。「過払い金チェッカー」などの、Web上の簡易確認方法も便利です。目安を知るために活用してみてください。
過払い金チェッカー
3、まとめ
現在でこそ新たな過払い金は発生しなくなりましたが、いまだに過払い金を請求できる可能性が高い方は多く存在します。
「借金の契約時から10年以上たっているから」
「名の知れた金融業者から借りているから」
などと考え、過払い金が存在しない、もしくは請求できないものと誤解されているかもしれません。たとえ借金をすでに完済なさっていても、過払い金は請求できることがあります。
ご自分に過払い金請求権がないかどうか気になるときは、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスまでご相談ください。すでに完済されていれば、信用情報に不利な記載が残されることもなく、払い過ぎたお金を純粋に取り返すことが可能です。現在も返済を続けている場合は、今後の返済負担を大きく削減できる可能性があります。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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