離婚調停中に相手の不貞行為が発覚! 慰謝料請求できる可能性はある?
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平成28年12月、栃木県宇都宮市で交際相手の浮気を疑った男性が、その交際相手を殺害するという事件が発生しました。
この事件のように、男女交際は、衝撃的な結末を迎えることもあります。また、結婚に至ったとしても、後に離婚になる場合もあり、離婚をめぐって争いに発展する場合もあります。
離婚問題が話し合いだけで解決しない場合、離婚調停を利用することもあります。この離婚調停中に、相手が不貞行為をしたことが発覚した場合、慰謝料請求できるのでしょうか。宇都宮オフィスの弁護士が解説します。
1、離婚調停中の不貞行為が発覚した場合、慰謝料請求できる?
離婚調停中に相手方の不貞行為が発覚した場合、慰謝料請求できるかどうかについては、婚姻関係が破綻しているかどうかによって違いが出ます。
なぜならば、すでに婚姻関係が破綻しているような場合は、異性と性的関係をもっても、不貞行為にあたらないからです。婚姻関係の破綻は、夫婦関係を双方が継続する意思がないということを指します。そのため、たとえ配偶者以外の人と交際していたとしても、責めることができないのです。
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(1)財産分与の金額など離婚を前提にしている場合
婚姻関係の破綻とは、たとえば、離婚についてすでに双方が同意していることが挙げられます。離婚調停は、単に離婚をするかしないかだけでなく、離婚に関する争いを解決する場所です。お互いが離婚に合意し、調停の内容が慰謝料の金額や財産分与の金額、子どもの養育費、親権など争いが起こっているような場合、婚姻関係はすでに破綻していると判断されるでしょう。
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(2)片方だけが離婚を主張している場合
たとえば、夫婦のうち一方が離婚をしたいと主張していても、もう一方は離婚したくないと、婚姻関係の継続を望んでいるような場合は、婚姻関係が破綻したとは言いきれません。
したがって、このような場合に、離婚を申し立てている方に不貞行為が発覚したような場合、慰謝料請求できる場合があるのです。 -
(3)別居期間が長期化している
別居になってから、かなりの期間が経過しているような、いわゆる別居期間の長期化がみられる場合は、婚姻関係が破綻していると考えられるのが一般的です。したがって、このような場合には、たとえ相手方に異性との交際が発覚したとしても慰謝料請求をすることができないのが一般的となっています。
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(4)離婚調停前から不貞行為があった
もっとも、異性との交際が発覚したのは離婚調停中だけれども、そもそもの交際自体は離婚調停前から始まっていた場合はどうでしょうか。このような場合は、婚姻関係が破綻する前から不貞行為の事実があるといえるため、慰謝料請求の対象となるのが原則です。
2、慰謝料を請求するならまずは証拠を集めよう
離婚調停中では、調停委員が調停案を作ることや証拠があることが絶対ではないため、裁判と異なる点はあります。しかし、調停委員も、証拠があった方が、慰謝料請求を認めるような調停案になるのです。
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(1)同居している場合は証拠を集めやすい
そのため、不貞行為の証拠を集める必要があります。婚姻関係が破綻していても同居しているような場合は、証拠を集めやすいかもしれません。ホテルの領収証がポケットから出てきた、などという場合もあるかもしれません。
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(2)別居している場合は調査会社に依頼
離婚が決まり別居している、配偶者が勝手に家を出てしまい別居になってしまったという場合は、不貞行為の証拠を集めにくいかもしれません。
こうした場合は、費用はかかりますが、調査会社に依頼することで、証拠を集めることが可能になります。 -
(3)有効となる証拠はどんなものがある?
不貞行為があると認められるために有利な証拠はどんなものがあるのでしょうか。そもそも法律上の不貞行為は、肉体関係があることを指します。そのため、肉体関係があることそのものは第三者に見られないようにして行われる性質上、直接的な証拠をつかむのは困難でしょう。
有利な証拠としては、SNSでのやり取りで肉体関係があったと推測できる内容が出ているような場合です。
その他の証拠としては、不貞行為を自分たちで撮影した動画や写真などが挙げられます。また、ラブホテルに出入りする様子を撮影した動画や写真も有利な証拠となり得ます。そもそも、ラブホテルは、男女が肉体関係を行う場所とされているためだからです。
その他としては、配偶者本人が不貞行為をしたと認めた音声を録音したものや不貞行為があったとわかるような電話の通話記録などもあります。ラブホテルの領収書もそのラブホテルを利用したことが推認されるため、有利な証拠となるでしょう。
また、調査会社などが作成した調査書も証拠となります。具体的には、配偶者が、ラブホテルに出入りした写真や報告書などです。
一般的に、これらの証拠があれば、不貞行為があったと推認することができるため、慰謝料請求が認められやすくなるでしょう。
他方、明らかにふたりで食事をしたと推認できるレストランの領収証は有利な証拠となり得ません。レストランでの食事は、肉体関係がない場合でもするためです。
SNSなどの会話などで仲がよさそうな雰囲気で、不貞行為が疑われたとしても、推認できるようなものではない限り、有利な証拠としてはなりにくいでしょう。 -
(4)夫婦関係の破綻を証明する責任は不倫した配偶者に
不貞行為があるとして、証拠とともに主張することができれば、慰謝料請求しやすくなります。なお、慰謝料請求を否定するには、夫婦関係が破綻していることを証明しなければなりません。この証明は、不貞行為をした配偶者側にありますので、そもそも破綻していないような場合は、証明が難しくなります。
こうしたことから、不貞行為の証拠をきちんと集めることが、慰謝料請求を認められるための重要な活動といえるのです。
3、慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット
慰謝料請求をする場合、弁護士に依頼するメリットは多くあります。離婚調停中でも同様です。なぜなら、弁護士が間に入ることで、妥当な慰謝料の金額が請求できるようになるからです。少ない金額で応じては損をしてしまう可能性があるのです。
また、不貞行為をされた側の場合は、離婚に応じたくないと考えている人も多くいます。そのため、配偶者から離婚を切り出されたショックで、どうしたらよいのかわからないと戸惑っている人もいます。こうした傷心の状態で、冷静な交渉をすることは困難ですが、弁護士に依頼することで心理的な安心感を得ることもできるでしょうし、代わりに慰謝料請求をしてもらうこともできます。
このような安心感を得ることで、落ち着きを取り戻すことが期待できるのです。こうしたことから、離婚でトラブルになっているような場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。
4、まとめ
離婚調停中に相手方の不貞行為が発覚した場合、慰謝料請求ができるか否かの判断の分かれ道は、婚姻関係が破綻しているかどうかです。
ただし、婚姻関係が破綻していることについては、相手方が証拠を集める必要がありますので、こちら側には有利になります。そのため、不貞行為にショックを受けるかもしれませんが、弁護士に相談の上で、有利な証拠を集めるようにするのが重要になります。
離婚調停中の不貞行為が発覚した場合、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスにご相談ください。宇都宮オフィスの弁護士が、力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています