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往来妨害罪に当たる行為とは? どのような罪になるの?

2021年07月15日
  • その他
  • 往来妨害罪
往来妨害罪に当たる行為とは? どのような罪になるの?

往来妨害罪というと普段は聞きなれない犯罪名ですので、初めて聞いた方はどのような犯罪なのかが気になるところでしょう。道路へのバリケードの設置から道路の破壊など往来を妨害するさまざまな行為が処罰の対象となります。

今回は、往来妨害罪とはどのような犯罪なのかについてベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

1、往来妨害罪に当たる行為とは

往来妨害罪とはどのような犯罪なのでしょうか。以下では、往来妨害罪に該当する具体的な行為について説明します。

  1. (1)往来妨害罪とは

    往来妨害罪とは、道路、橋などを破壊、障害物を置いて通路を遮断することによって、人、自動車、船の通行を不可能とすることで成立する犯罪です。

    往来妨害罪は、現代の社会生活にとって不可欠となっている道路、鉄道、船舶の交通の安全を守るべき対象としています。

    また、日々交通機関が発達する中では、刑法だけで対応することは難しいため、刑法に規定されているもの以外の往来を妨害する行為については、特別法によって処罰の対象としています。

    具体的には、道路交通法、道路運送法、高速自動車国道法、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律などがあります。

  2. (2)往来妨害罪の対象となる客体

    往来妨害罪が守るべき対象物としているのは、陸路、水路、橋です。
    陸路とは、陸上の通路すなわち道路のことをいいます。一般の人や自動車が通行するための道路であることが必要になります。私道であっても一般の人も通行する道路であれば、陸路に含まれます。

    水路とは、船などの航行に用いられる河川、運河、港口などをいいます。海路や湖沼の水路も損壊または閉塞(へいそく)することができるものは、往来妨害罪の客体に当たります。
    橋とは、河川や湖沼の上に架けられた橋のことをいい、陸橋、桟橋も含みます。

  3. (3)往来妨害罪の対象となる行為

    往来妨害罪の対象となる行為は、損壊または閉塞をして往来の妨害を生じさせる行為です。損壊または閉塞以外の行為によって往来の妨害を生じさせたとしても往来妨害罪は成立しません。

    損壊とは、通路の全部または一部を物理的に壊すことです。たとえば、道路上に大きな穴をあけたり、河川の堤防を破壊するなどの行為が損壊に当たります。物理的な毀損が必要になりますので、糞尿を道路にまき散らすなどして心理的に通行を不可能にしたとしても、損壊には当たりません。

    閉塞とは、障害物を置いて通路を遮断することをいいます。たとえば、道路上にバリケードを設置するなどして通行を妨害する行為が閉塞に当たります。障害物が通路を部分的に遮断するに過ぎない場合でも通路の効用を阻害して往来の危険を生じさせたときには、閉塞に該当します。

    なお、この犯罪の法定刑は、「2年以下の懲役又は20万円以下の罰金」と規定されています。

2、往来妨害罪が問題となった判例

それでは実際、どのような行為が往来妨害罪とされるのでしょうか?往来妨害罪が問題となった判例を見てみましょう。

  1. (1)私有地に有刺鉄線を貼った行為が往来妨害罪にあたるか判断された事例

    私有地に丸太棒ぐいを打ち込んで有刺鉄線を張り渡した行為が往来妨害罪に該当するかどうか争われた事案として、最高裁判所昭和32年9月18日決定があります。

    同判例では、当該通路の敷地部分が被告人の所有地であることは認められるが、町村道路線認定を受けており、その認定前から長期間にわたり、町村市街地に通じる車や馬のための唯一の道路として、公衆の往来用の陸上の通路となっていることが認められると判示し、私有地であっても刑法124条1項の「陸路」に該当すると判断しました。

    往来妨害罪の客体には、陸路、水路または橋が含まれますが、同判例を前提とすると、公有か私有かを問わず、公衆で使用しているものであれば足りるということになります。私有地だからといって、往来妨害罪が成立しないというわけではありませんので、注意が必要です。
    (最高裁判所昭和32年9月18日決定)

  2. (2)道に自動車を置いて、火炎びんで燃やした行為は往来妨害罪に当たるか、判断された事例

    県道に自動車を斜めにおいて県道の幅員を部分的に遮断したにすぎない行為が、往来妨害罪に該当するかどうかが争われた事案として、最高裁昭和59年4月12日決定があります。

    同判例では、被告人らは、幅員約5.9メートルの県道上の側端から中央部分に、車体の長さ約4.26メートルの普通乗用自動車を斜め横向きに置き、道路を部分的に遮断していました。その際に、自動車の内外にガソリンをまき、着火した火炎びんを投げ込んで自動車を炎上させました。これにより、自動車の燃料に引火して、周辺が爆発するかもしれない状況をつくりだしたのです。

    裁判所は、この事案に対して、たとえ、障害物として置かれた自動車が、県道を部分的に遮っただけで、道路の片側に未遮断部分が約2メートル余りあったとしても、「道路の効用を阻害して往来の危険を生じさせたもの」であり、陸路を閉塞(へいそく)して往来を妨害したものと判断しました。

    同判例を前提とすると、道路を部分的に遮断したにすぎない場合であっても、安全に通行することが困難な場合には、往来妨害罪の「閉塞」に当たり、往来妨害罪が成立することになります。
    (最高裁昭和59年4月12日決定)

3、往来妨害罪以外の往来を妨害する罪とは

刑法では、往来妨害罪にも往来を妨害する罪を規定しています。この章では、それらの犯罪について解説します。

  1. (1)往来妨害致死傷罪

    往来妨害致死傷罪とは、往来妨害罪が成立し、その結果として人を死傷させたときに成立する犯罪です(刑法124条2項)。往来を妨害して人を死傷させるという結果を生じさせていますので、傷害の罪と比較して重い刑罰が科されます。

  2. (2)往来危険罪

    往来危険罪とは、以下の行為によって汽車・電車の運行に危険を発生させることまたは艦船の往来の危険を生じさせることによって成立する犯罪です(刑法125条)。

    • 鉄道・標識の損壊(刑法125条1項)
    • 灯台・浮標の損壊(刑法125条2項)
    • その他の方法(刑法125条)


    その他の方法として代表的なケースは、線路への置き石です。往来危険罪は、汽車、電車および艦船の往来の安全を守るべき利益としており、主要交通機関の安全を特に保護する趣旨から、往来妨害罪よりも重く処罰しています。往来危険罪の法定刑は、2年以上の懲役と規定されています。

  3. (3)汽車等転覆・破壊罪

    現に人がいる汽車または電車を転覆・破壊した場合には、汽車等転覆・破壊罪が成立します(刑法126条1項)。

    転覆とは、汽車または電車を転倒、横転、転落させることをいい、単なる脱線では転覆には含まれません。破壊とは、汽車または電車が、交通機関としての機能を全部または一部停止する程度、損壊することをいいます。そのため、電車の窓ガラスを破壊しても、交通機関としての機能に影響が出ない場合、には、汽車等転覆・破壊罪ではなく、器物損壊罪が成立します。

    汽車等転覆・破壊罪の法定刑は、無期または3年以上の懲役です。

  4. (4)汽車転覆等致死罪

    汽車転覆等致死罪は、汽車等転覆・破壊罪が成立し、その結果として人を死亡させた場合に成立する犯罪です。

    汽車転覆等致死罪の法定刑は、死刑または無期懲役と規定されています。

4、往来妨害罪で逮捕された場合、弁護士に相談を

往来妨害罪で逮捕された場合には、できる限り早期に弁護士に相談をするようにしましょう。以下では、弁護士に依頼した場合のメリットについてご紹介します。

  1. (1)逮捕時点で面会できるのは弁護士だけ

    往来妨害罪で逮捕された場合には、各警察署の留置場に身柄が拘束されます。

    逮捕されてから勾留決定がでるまでの最大72時間は、たとえ家族であっても被疑者本人と面会することはできません。この期間に面会をすることができるのは、弁護士だけです

    弁護士であれば、土日祝日や深夜など時間の制約を受けることなく自由に面会をすることができます。多くの被疑者は初めて逮捕され、また初めて警察の取り調べを受けることになりますので、適正な取り調べがなされていたとしても、多大な精神的ストレスを受けることになるでしょう。

    このような状況下で取り調べがなされると、早く身柄を解放してもらいたいがために、不利な内容であっても、容疑を認めてしまう危険もあります。認めてしまった内容については、後日撤回することが非常に難しくなりますので、取り調べに対して適切に対応するためにも、身柄拘束中の弁護士のサポートが不可欠です。

    家族が逮捕されたという場合には、すぐに弁護士に連絡をして、面会などの対応を依頼するようにしましょう。

  2. (2)早期の身柄解放に向けた活動ができる

    往来妨害罪で逮捕された場合には、その後の勾留によって、引き続き身柄拘束が続く可能性があります。勾留は、延長することが認められていますので、検察官が勾留延長を請求した場合には、逮捕時から最大で23日間も身柄拘束が続く可能性があります

    通常の社会生活を送っている方が、23日間も身柄拘束を受けることになれば、仕事や学校などへの影響がはかり知れないでしょう。しかし弁護士であれば、勾留取消や準抗告などの手段によって、早期の身柄拘束からの解放に向けて活動することができます。

    身柄拘束による不利益を少しでも緩和するためにも、弁護士に依頼をすることは有益といえます。

5、まとめ

往来妨害罪という犯罪は聞きなれない犯罪ですが、道路をバリケードでふさぐなどの行為でも成立する可能性のある犯罪です。往来妨害罪で逮捕された場合には、弁護士に依頼することによって、さまざまサポートを受けることができます。家族が往来妨害罪で対応されたという場合には、ベリーベスト法律事務所 宇都宮オフィスまでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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