モラハラ夫からあなたを守る! いち早く離婚するために知っておきたいこと

2019年04月18日
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モラハラ夫からあなたを守る! いち早く離婚するために知っておきたいこと

離婚にいたる原因として、DV(ドメスティックバイオレンス)=家庭内暴力のひとつである「モラハラ(モラルハラスメント)=精神的暴力」は広く知られるようになりました。しかしながら、モラハラは、被害者が自分ひとりで解決することが非常に難しいものです。

宇都宮市明保野町にある男女共同参画推進センター内で、「女性相談所」を受け付けていることをご存じでしょうか。国や行政も、女性の権利保護のためのさまざまな対策を講じています。それだけ、男女間の暴力は根深い問題である証左といえるでしょう。

あなたには、自分を守る権利があります。できるだけ早くモラハラをする夫と離婚するための方法や注意点などを、宇都宮オフィスの弁護士が解説します。

1、モラハラとは

そもそもモラハラとは、モラルハラスメントの略称です。具体的には、相手の人格を否定したり、おとしめたりするような言葉を乱用する、言葉や態度を用いた精神的な暴力行為や嫌がらせを指します。

肉体的に傷がつかなくても、心は傷つきます。どのような理由があっても許される暴力はありません。しかし、夫婦げんかとは異なるものであるにもかかわらず、多くのケースで自分自身が被害者であることに気づかないことも少なくないようです。一方的に人格を否定され続けるなかで抵抗する力を奪われ、不平等な関係性が長期間続いてしまい、それが当然だと思い込まされているケースもあるでしょう。

まずは具体的にモラハラについて知っておきましょう。

  1. (1)モラハラとされる行動とは

    具体的にモラハラとなる行為は以下のようなものが挙げられます。

    • 「バカ」「お前は何をやってもだめだ」など常に妻や妻の大切な人や物をおとしめる言動をする
    • わざと大きな音をたててドアを閉めたり、物を置いたりして威嚇的にふるまう
    • 特に理由もなく継続的に無視し続ける
    • 人前で罵倒する
    • 「出ていけ」「別れるなら殺す」「死んでやる」などと脅す
    • 明確な理由なく外出などを禁止する
    • 夫婦で責任のあることも、不備があればすべて妻のせいにする
    • 「誰のおかげで暮らせていると思っているんだ」など経済力で相手を縛る


    これらの言動に心当たりがあるならば、モラハラを受けている可能性があります。

  2. (2)モラハラ夫の特徴

    特に留意しておきたいことは、モラハラをする夫の年齢・学歴・職業などに一定の傾向はないということです。職場や地域では、穏やかで真面目、もしくは人格者と思われている人が、妻に対してはモラハラをしていたというケースは少なくありません。

    しかし、モラハラをする夫には一定の傾向があるようです。具体例の一部を紹介します。

    • 妻より自分が上だという優越感が強い
    • 自分はお金を自由に使うが妻が使うことは許さない
    • 自己中心的
    • 妻の言動を制限する
    • 第三者などへの対応は問題がない、むしろ気を使っている
    • 理論的に畳み掛けるような話し方をするが、会話が成り立たないことがある
    • 利用価値がない相手とは付き合わない


    自己愛が強く、相手の心を支配してコントロールしようとする点が最大の特徴です。そのため、妻が気持ちや意見を言ったとしても、頭から「間違っていること、取るに足りないこと」として、無視したり、逆上したりします。場合によっては、子どもすらあなたを支配するための道具として使うこともあるかもしれません。

2、モラハラ夫と離婚するためにやるべきこと

そのような関係性を終わらせるために、離婚という選択肢を取ることは妥当な判断です。

しかしながら、モラハラをする人物の多くが「自分が悪い」とは思いません。妻から離婚を切り出されても受け入れず、逆上することもありえます。相手への支配力を強めようとますますモラハラがひどくなるケースもあり、ひとりで対応することは非常に難しいのが現実です。

  1. (1)第三者に相談する

    モラハラから脱することを決意したら、何よりも先に第三者の助けを借りることをためらわないでください。その際、利害関係のある親族や友人ではなく、女性の暴力に対して知見のある窓口であることが望ましいです。なぜならば、モラハラ夫の多くが知人に対しては愛想がいいことが多く、理解してもらえない可能性があるためです。

    第一歩としては、行政の女性相談所や弁護士、カウンセラーに悩みを話してみましょう。
    人間の心理として、どんなに悪い状況に置かれていても、現状から変化することのほうが怖いという傾向があります。「夫にも優しいところもあるから」などと無理に思い込んで、普段の行いを我慢してしまう方もいます。

    しかし、第三者に話すなかで、自分の置かれている状況が普通ではないことが徐々に理解することができるでしょう。

  2. (2)自立のための準備をする

    続いて、離婚後の生活を想定した準備を少しずつ始めていきましょう。

    離婚を考えた時点で、できるだけ自分の名義の貯金を増やしておくことも大切です。専業主婦など無収入の場合は、貯金から離婚後の当面の生活費を確保する、仕事を探すことが必要です。

    離婚後のサポート制度として、就労支援や母子手当の額などを調べておきましょう。前述の「女性相談所」などの行政窓口に相談するとよいでしょう。

  3. (3)モラハラの証拠を集める

    離婚に際し裁判所に判断をゆだねることになる可能性は少なくありません。スムーズに認めてもらうためにも、あらかじめモラハラの証拠を集めることも重要です。

    具体的には、以下のようなものが証拠になりえます。

    ●音声
    モラハラは家庭の外からはわからないことがほとんどです。ボイスレコーダーなどで、暴言などを録音できれば内容によっては証拠となりえます。最近はスマートフォンに録音機能があります。またクラウドサービスなどでネット上にデータを保存することもできますので、万が一端末を破棄される事態にも対応できるでしょう。

    ●日記
    日記をつけておくことは有効な手段のひとつです。どのような状況でどんなモラハラ発言があったのかを具体的かつ継続して記録しておきます。

    ●相談記録、診断書
    モラハラの心理的な要因から診療内科に通った場合は、診断書をもらっておきましょう。
    警察や女性センターへの相談記録も証拠になります。

  4. (4)別居を検討する

    モラハラによる心身の消耗が激しい場合は、夫の精神的な暴力からできるだけ早く離れて、あなたの精神の安定をはかることが大切です。離婚までは決心がつかない場合でも、別居をしてから落ちついてこの先を考えることも一案といえるでしょう。

    DVやモラハラを受けていて、「実家にも頼れないし、いきなり住居を探すことは困難」という場合、緊急時に利用できる保護施設があることはご存じでしょうか。各都道府県にシェルターなどと呼ばれている施設があり、女性が子どもと一緒に一時避難することができます。

    宇都宮市内でも、「配偶者暴力相談支援センター」や「とちぎ男女共同参画センター」の相談ルーム、さらには「宇都宮市女性相談所」などでも相談ができます。あなたや子どもの身を守ることがもっとも重要です。いざというときには頼ることを検討してみたほうがよいかもしれません。

  5. (5)弁護士に交渉を依頼する

    モラハラを受けているのであれば、離婚に伴う話し合いをすることや、条件などについて夫と交渉すること自体が大変な負担となるでしょう。しかし、自らは身を隠し、弁護士に依頼すれば、あなたは今後、一切モラハラ夫と顔を合わせる必要はありません。弁護士は、あなたの代理人として交渉を行います。

    第三者である弁護士に依頼することで、夫も冷静に話し合いに応じる可能性が考えられます。何よりも、離婚に際して不利な条件にならないよう、法的な観点からも交渉をサポートすることが可能です。

3、まとめ

モラハラ夫というのは、外から非常に見えにくい分、ひとりで苦しむ方は多いものです。私が悪いのかもしれない、子どもには両親とも必要だから別れられないと考えている女性も少なくないでしょう。しかし、いつも夫におびえて生活することは果たして子どもにとって本当に幸せなのかを、改めて考えてみてください。

また親世代は、「人の家庭内のことは口出しできない、怒らせたほうも悪いのではないか、夫婦だから少しぐらい耐えないと」という考え方も根強くあります。親族であっても頼りになるとは限らないようです。

しかし、あなたにはあなたの人生を幸せに生きる権利があります。弁護士や周りの力を借りて、新しい人生を選択することもできます。まずはベリーベスト法律事務所宇都宮オフィスへご相談ください。勇気を出してあなた自身の心と体を守り、モラハラ夫と決別しましょう。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています